薬剤師会

「0類」医薬品の創設提言~処方箋交付と薬局販売可に【日本薬剤師会】

薬+読 編集部からのコメント

日本薬剤師会では、医療用医薬品と要指導医薬品の中間に位置し、医師による処方箋での交付と薬局での販売がどちらも可能になるようにするため、OTC医薬品の新たな類型として「医療用一般用共用医薬品(仮称)」の創設を厚労省に求めます。対象医薬品は、供給が困難になって市場からなくなってしまう医療用医薬品や、処方箋なしでも患者アクセスを確保する必要性が高い医療用医薬品を想定。医療用医薬品を処方箋なしで販売する「零売」ではない仕組みを構築したい考えです。

日本薬剤師会は、OTC医薬品の新たな類型として「医療用一般用共用医薬品(仮称)」の創設を厚生労働省に求める。医療用医薬品と要指導医薬品の中間に位置し、医師による処方箋での交付と薬局での販売がどちらも可能になるようにする。対象医薬品は、供給が困難になって市場からなくなってしまう医療用医薬品や、処方箋なしでも患者アクセスを確保する必要性が高い医療用医薬品を想定。医療用医薬品を処方箋なしで販売する「零売」ではない仕組みを構築したい考えだ。実現には医薬品医療機器等法の改正が必要になり、国に提言していく方針。

 

医療用と一般用を兼用

 

共用医薬品の創設は、都道府県会長協議会で公表した「政策提言2022」の中で提言したもの。地域住民がOTC医薬品をより活用しやすくするため、医師と薬剤師の両者で対応を行えることを狙いとしている。スイッチOTCの場合、要指導医薬品としての販売が3年以上経過すると、第1類医薬品にリスク区分が変更となるが、共用医薬品はリスク区分が変更されない「0類」として取り扱えるようにする。

 

OTC医薬品の扱いとなるが、医師の処方箋での交付も可能とするほか、販売は薬局で薬剤師が行う。

 

山本信夫会長は記者会見で、「スイッチOTCの一番の問題点は、スイッチする時は厳格な議論をしつつ、スイッチされてしまうと3年間何もなければ自動的に1類、2類に落ちていく仕組みになっている。そういう扱い方をしてはいけないものも中にはある」と述べ、薬局薬剤師しか扱えないOTC医薬品の必要性を指摘。零売についても「薬剤師が医薬品を扱う上で販売の仕方に問題がある」との認識を示した。

 

財務省が医療用としても一般用としても販売されているOTC類似品の保険外しを提案する中、「共用医薬品の枠組みを作り、医療用の中でとどめておく。保険で買えるという意味では医療用だが、自由に買えるという意味では一般用になる」と説明。

 

その上で「保険という仕組みの中での制限と、医療の中で使うという制限と、自由に薬剤師の指導なり専門家の指導の中で患者が買える薬とそうでない薬を、どのようにコラボレーションすれば薬を使っていけるか。(0類は)その置き場として考えた」と述べた。

 

磯部総一郎専務理事は、共用医薬品の対象として想定している「供給が困難になって市場からなくなってしまう医療用医薬品」のイメージについて「安定確保医薬品とまでは言えなくても、供給が社会的に逼迫した状況にあり、ある程度日常医療で使われている医薬品」と言及。

 

後発品の逼迫問題を例に挙げ、「後発品メーカーは企業体力より多くの品目を扱っていかなくてはならないことが生じており、品目数も強制的に絞らざるを得ない状況にある。なくなってしまった薬がどこにいけばいいのかということはある。医薬品のライフサイクルや医薬品で起こっている様々な問題を考えると、受け皿を考えておかないと通常使っている薬が急に使えなくなってしまう」と述べ、社会的に必要な医薬品の受け皿として共用医薬品の意義を強調した。

 

日薬の提言に対し、厚労省幹部は「事前に説明を受けている。厚労省として提案内容を認めているのではなく、一つの意見」との認識を示した。零売のあり方など、医薬品販売制度には様々な課題がある中、「問題提起と受け止めている。着眼点としてはいいのではないか」としつつ、実現に向けては「法改正などハードルは高い」と見ているようだ。

 

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出典:薬事日報

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