薬剤師会

初の生涯研修制度一本化~病院・薬局連携強化に弾み 埼病薬、埼玉県薬

薬+読 編集部からのコメント

埼玉県病院薬剤師会と埼玉県薬剤師会は、県病薬と県薬が協力して実施する全国初の研修認定薬剤師制度を2024年前半にもスタートさせます。埼玉県内で就業している薬剤師が、病薬が実施する癌や感染制御領域などの専門的な研修、県薬が実施する薬局や在宅医療の研修を相互に受講しやすくすることで、県内薬剤師の連携強化に弾みを付けたい考えです。

埼玉県病院薬剤師会と埼玉県薬剤師会は、今年前半にも県病薬と県薬が協力して実施する全国初の研修認定薬剤師制度をスタートさせる。都道府県病薬では唯一の生涯研修プロバイダーである埼病薬が第三者評価機関の薬剤師認定制度認証機構に、「埼玉県病院薬剤師会生涯研修センター」(G15)から「埼玉県薬剤師生涯研修センター」(G15)への名称変更を申請中。手続きが完了すれば、病薬が実施する癌や感染制御領域などの専門的な研修、県薬が実施する薬局や在宅医療の研修に病院・薬局薬剤師が相互乗り入れしやすくなる。県内薬剤師の連携強化に弾みを付けたい考えだ。

 

埼病薬は、8月に日本病院薬剤師会関東ブロック学術大会、埼玉県薬は9月に日本薬剤師会学術大会をさいたま市内で開催予定にある。県薬は、約1万人の薬剤師が来場する日薬学術大会を控え、当初は単独で生涯研修プロバイダーを取得する構想もあったが、認定取得までに要する期間や費用などを考慮し、埼病薬のG15に乗り入れる目的で名称変更を打診。埼病薬は県薬からの打診を受け入れ、現在G15のプロバイダー名称変更に向けた手続きを進めている。

 

最大のメリットは、県内で就業している薬剤師が病薬、県薬の提供している多様な研修プログラムを受講しやすくなることだ。県薬単位での生涯研修プロバイダーは、東京都薬や神奈川県薬、石川県薬など数県あるが、病薬の生涯研修プロバイダーは埼病薬のみとなり、埼玉県薬にとっては強力なパートナーになる。

 

既に埼病薬は、生涯研修センター内に「癌」「感染制御」「糖尿病」「緩和医療」「精神科」「妊婦授乳婦・小児科」「輸液・栄養管理」「医療の質・安全対策」の専門研修部会を設置し、専門性が高い多様なプログラムを提供。オンデマンド型研修の単位受講にも対応が可能であり、ライブ配信型研修では受講が難しい薬剤師にも学ぶ機会を提供できる強みを持つ。

 

埼玉県薬も薬剤師生涯教育の専門組織を設置し、今後薬局に関する研修などの強化を図る。

 

斉藤祐次会長は、「病院薬剤師と薬局薬剤師の垣根を取り払って研修を行っていきたい。薬局薬剤師の研修しか受けたことない薬剤師が、病院薬剤師の研修を受けることで学ぶ選択肢が広がる。キャリア形成の面で見ても、病院から薬局、薬局から病院への薬剤師転職のきっかけになり、好影響をもたらす」と述べ、病薬・県薬が一本化した全国初の生涯研修制度に期待感を示す。学術大会の申し込みが始まる4~5月頃には「何とか運用を開始できれば」との意向を示す。

 

埼玉県薬は会員、地域をはじめ、大学薬学部や病院薬剤師会、女性薬剤師会、青年部などの全ての薬剤師関係団体間をつなぎ、総力戦を展開する“オール薬剤師構想”の実現を目指している。斉藤氏は、埼病薬とG15を共同で運営していくことは「薬剤師の地位向上に向け、一つの突破口になる」と話す。

 

埼病薬の町田充会長は、生涯教育センターの事務局運営にかかる費用面の負担もあり、「県薬からの依頼はわれわれにとって耳を傾けるいい機会になった」と話す。その上で「生涯教育に向けた研修会を企画できる機会が増えることが、県病薬、県薬が合同でやることのメリットではないか」と述べ、“病薬連携の埼玉モデル”の確立に前向きな姿勢を示している。

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出典:薬事日報

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