【調査】地域加算届出薬局に厳しく~加算平均はマイナス2点 日本保険薬局協会
2024年度診療報酬改定の施行前後を比較した結果、改定後に地域支援体制加算がマイナス7点となったのは2万1598薬局(35.5%)で、連携強化加算と医療DX推進体制整備加算を加えた加算への影響度がプラス1点となったのは5340薬局と全体の8.8%にとどまったことが、日本保険薬局協会(NPhA)がまとめた調査報告書で明らかになった。地域支援体制加算の届出なし薬局で、改定後に加算の影響度がプラスになった薬局は全体の4割を占め、NPhAは「地域支援体制加算を取得した薬局には厳しいスタートになった」と分析している。
NPhAは、6万1780薬局のうち、改定前の5月と改定後の8月で医療機関コードが紐付いた6万0766薬局を対象に調査を実施した。
8月時点の地域支援体制加算の届出割合は38.8%と改定前から0.2ポイントの微増となった。NPhA加盟社は41.5%と5月比で0.1ポイント増えたが、実績要件が改定された加算2の届出は1万0976件から1万0473件に減少した。
加算への影響度の分布を見ると、地域支援体制加算届出薬局の改定による加算への影響度の平均はマイナス2.1点で、1薬局当たり年間影響額は約31万円のマイナスと試算した。一方、届出なし薬局はプラス5.1点で、年間影響額はプラス74万円とその差は約105万円とした。
改定後に地域支援体制加算がマイナス7点となった薬局は全体の35.5%で、点数の付け替えで連携強化加算5点、医療DX加算3点を加えてプラス1点となったのは全体の8.8%だった。
改定前に地域支援体制加算の届出がない薬局は59.4%、その中でプラスになったのは全体の41.6%だった。
連携強化加算の届出割合は5月時点で1万4997薬局と全体の24.7%にとどまっていたが、8月時点では3万9747薬局と65.4%まで上昇。特に20薬局以上で届出割合が伸長した。
在宅薬学総合体制加算は加算1(15点)が2万2948薬局、終末期対応か小児在宅の実績が要件化されている加算2(50点)も3764薬局で、合計すると44.0%の薬局が届出を行った。改定前の在宅患者調剤加算の届出件数が2万5071薬局(41.3%)から増加した。
調剤基本料で見ると、医療機関と同一敷地内薬局が算定する特別調剤基本料Aは635薬局で全体の1.0%となった。基本料の届出がない特別調剤基本料Bは519薬局で0.8%にとどまった。
三木田慎也会長(写真)は5日の定例会見で、「(薬局では)価格の上昇ができないわけで、持続可能な業態にならないとの危惧を抱いている」と指摘。
「賃金の上昇は薬剤師は何とかなっているが、医療現場の事務員の業務量が多くなっているのが実態だ。(経営環境については)会員企業の第1四半期決算でも顕著に現れており、国に訴えていきたい」と述べた。
石井僚特任部長は、「加算のプラスを取得するために、かなりの労力がかかっていることを理解していただきたい」と述べた。
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出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
地域支援体制加算届出薬局の2024年度診療報酬改定による加算への影響度の平均はマイナス2.1点で、1薬局当たり年間影響額は約31万円のマイナスという試算結果が、日本保険薬局協会(NPhA)がまとめた調査報告書で公表されました。