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最新 薬剤師業界のTopicsをラク〜にまとめ読み 医薬NEWS超楽読

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首都圏のみならず全国的に新型コロナウイルスの感染再拡大が続き、病床も逼迫してきた2020年8月。大阪府吉村知事による「ポビドンヨードうがい薬」の会見をめぐる動向やワクチン供給に関する日本政府の合意締結について詳しく解説します。

ポビドンヨードうがい薬の報道には冷静な対処を/新型コロナワクチン6000万人分の供給合意

ラク~にまとめ読み
  • Topics 1 ポビドンヨードうがい薬の報道には冷静な対処を
  • 8月4日、大阪府・吉村知事が「ポビドンヨードうがい薬で新型コロナウイルスを抑えることができる」旨の会見をしたところ(翌8月5日の会見で「予防薬でも治療薬でもない」と釈明)、薬局等で同うがい薬が一時品薄状態に。この会見に対し医療従事者から批判が相次ぎ、日本医師会からもエビデンスの不十分さと誤使用による健康被害への懸念が指摘されている。
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  • Topics 2 新型コロナワクチン6000万人分の供給について政府と米ファイザーで合意
  • 日本政府が、米国のファイザー社がドイツのBioNTech社と共同開発を進めるmRNAワクチン「BNT162」の開発が成功した場合、2021年6月末までに6000万人分の供給を受けることで合意したことを発表した。
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Topics 1 ポビドンヨードうがい薬の報道には冷静な対処を

新型コロナウイルス感染症の全国的な流行が再び勢いを増し、連日様々な情報がメディアで流されています。中には医学的にみて信憑性が低いものも……。感染症の知識を持った医療従事者であれば「そんな馬鹿な……」と一笑に付すような話でも、一般の患者さんは真に受けてしまい、誤った感染予防対策に躍起になってしまうケースもあります。

最近とくに物議を醸したのは大阪府・吉村洋文知事による「ポビドンヨードうがい液」会見(2020年8月4日)です。「ポビドンヨードが含まれるイソジン(商品名)などのうがい液を使用することで、新型コロナウイルスを抑えることができる」旨の発言があり、報道されるや否や騒ぎとなりました。薬局やドラッグストアなどでポビドンヨードうがい液が品薄状態になったり、医療機関でポビドンヨードうがい液の処方を希望する患者さんが続出したとのことです。こうした事態を受け、翌8月5日の会見で吉村知事は「誤解されている」とし、「予防薬でも治療薬でもない」が「人にうつさない選択肢として可能性がある」と釈明しました。

8月4日の発言の根拠となったのは、大阪はびきの医療センターが大阪府内の宿泊療養施設の新型コロナウイルス感染症患者41人に対して行った検査の結果でした。ポビドンヨードうがい液で1日4回のうがいをした群としない群に分け、唾液を用いたPCR検査を実施したところ、4日目にはうがいをしていない群の陽性率は40%であったのに対して、うがいをした群の陽性率は9.5%であったということです(論座より)。

しかし、検査対象者が非常に少ないことや検査手法自体の均質性のなさなどが指摘されており、さらには査読を受けた学術論文ではないため、これをもって「ポビドンヨードうがい液が新型コロナウイルスを抑制する」と結論付けることは難しいと言わざるを得ません。

こうした事態を受けて、現場の医療従事者から批判の声が挙がったことは言うまでもありません。日本医師会からも、エビデンスが不十分であることに加え、ポビドンヨードうがい液の誤った使用により妊婦などに健康被害を生じる可能性があること、検査の「陽性隠し」につながりかねないことを懸念する声明が出されました(日本医師会8月6日の定例記者会見にて)。

新型コロナウイルス感染症が日本で拡大し始めてから約半年がたちますが、今回のような信憑性の低い情報は次から次へと生まれてきます。一般の方、中でもインターネットに触れる機会の少ない高齢の患者さんはテレビが主な情報源となることから、エビデンスに乏しい情報を過信してしまう恐れもあります。

薬剤師の皆さんは、患者さんが医師や看護師には相談できないことや、相談したけれども取り合ってもらえなかったことを話せる、頼りになる存在です。正確でない情報に混乱する患者さんを正しい方向へ導くため、日ごろからエビデンスに基づいた情報を取得し、聞かれたときにわかりやすく説明できるように備えておきましょう。

Topics 2 新型コロナワクチン6000万人分の供給について政府と米ファイザーが合意

2020年7月31日、政府は米国のファイザー社がドイツのBioNTech社と共同開発を進めるmRNAワクチン「BNT162」の開発が成功した場合、2021年6月末までに6000万人分の供給を受けることで合意したと発表しました(薬事日報、2020年8月3日)。価格面の詳細は、8月21日現在、明らかになっていません。

新型コロナウイルス感染症のワクチン開発のゆくえは、今、世界で最も注目されるトピックのひとつといえるでしょう。両社は第Ⅱb/Ⅲ相試験を行っており、2020年10月を目途に承認申請する予定とのこと。ワクチンを日本に輸入するには厚生労働省の承認が前提となりますが、早急な供給を実現すべく承認手続きが簡素化される見通しとなっています。

mRNAワクチンは、病原体の抗原を作り出す遺伝物質mRNA(メッセンジャーRNA)を投与するタイプのワクチンで、開発期間が短い特徴があります。「BNT162」は、BioNTech社の独自技術を生かし、ウイルス中和抗体の標的となる新型コロナウイルスのスパイク糖タンパク全長をエンコードするとされています。

そのほかにも、世界では遺伝子組み換え技術を応用して製造した新型コロナウイルスの抗原を用いる「組み換えタンパクワクチン」、従来のワクチンと同じく不活性化した新型コロナウイルスを投与する「不活性化ワクチン」、新型コロナウイルスの遺伝情報を持った他のウイルスを投与することで抗原の合成を促す「ウイルスベクターワクチン」など、様々なタイプのワクチンの開発が進められています。これらの研究成果が実り、1日でも早く感染拡大を食い止め、人類の救済につながっていくことが期待されます。

薬剤師の皆さんも、患者さんからワクチンについての質問を受ける機会が増えたのではないでしょうか。不安をいたずらに煽ったり、過大な希望を持たせたりすることなく対応するために、最新の論文などをチェックしてワクチン開発の正確な状況を把握しておきたいものです。

<この記事を読んだ方におすすめ>
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※この記事に掲載された情報は2020年8月21日(金)時点のものです。

成田亜希子(なりた あきこ)

医師・ライター。2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。その後、国立保健医療科学院や結核研究所での研修を修了し、保健所勤務の経験もあり。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。

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