病院薬剤師確保策が停滞 ~ 3年連続で予算化見送り 秋田県病院薬剤師会
病院薬剤師の偏在指標が0.59と全国で2番目に低い秋田県で、薬剤師確保策が停滞している。秋田県病院薬剤師会と秋田県薬剤師会は3年にわたり県と予算化交渉を続けたが、2026年度も措置は見送られた。昨年10月には県知事への要望書提出まで漕ぎ着けていただけに関係者の落胆は大きい。県病薬常務理事で薬剤師確保対策委員長の菊地正史氏(写真㊧=秋田大学病院)は13日、秋田市内で開かれた日本病院薬剤師会東北ブロック学術大会で講演し、「(3年連続の)ゼロ回答で心が折れそうになるが、ここで諦めるわけにはいかない。県の担当者と連携し、今年度こそはとの思いで取り組みを進めている」と述べ、引き続き打開策を模索していく考えを示した。
秋田県の病院薬剤師の偏在指標は、県北0.53、県央0.62、県南0.44と、二つの医療圏で0.5を下回り、薬剤師不足は深刻だ。県内には薬学部がなく、県出身で他県の大学薬学部に在籍する薬学生は計293人にとどまり、東北地区では最少、全国でも島根、鳥取に次ぐ少なさである。
多くの都道府県が薬剤師確保対策事業に予算を計上しているが、秋田県には予算措置が講じられていない。病院薬剤師偏在指標全国ワーストの青森県が「薬剤師確保対策事業」として3119万5000円を計上したのと対照的だ。
こうした状況を踏まえ、県病薬は県薬の支援を得て県との協議を重ねてきた。23年6月に初の打ち合わせを行い、県薬剤師確保検討会の開催や人材確保対策室長との面談を重ね、昨年10月には県病薬と県薬の両会長の連名で知事に要望書を提出した。
要望書は、▽県独自の病院薬剤師修学資金貸付制度の創設▽不足地域への出向支援体制の整備▽小中高生を対象とした人材確保対策▽病院薬剤師就職サイトの充実▽復職・研修支援の整備――の5項目が柱。要望書提出は地元紙にも大きく取り上げられ、県民への認知向上にもつながった。
しかし、こうした取り組みにも関わらず、26年度予算には反映されなかった。菊地氏は「23、24年度とゼロ回答が続き、25年度は3度目の正直として注力し、要望書提出で手応えを感じていたが」と落胆をにじませた。
県の医療保健福祉計画では、24~29年度で病院薬剤師を123.7人増加させる目標を掲げる。ただ、菊地氏は「県出身の薬学生が県内で病院薬剤師にならなければ達成できない非常に高い目標」と指摘。行政への働きかけを継続すると共に、県病薬事業として小中高生や薬学生への広報強化に力を入れる考えを強調した。
一方、薬局薬剤師の偏在指標は0.96で全国24位と比較的充足しているため、県薬では病薬不足の問題意識は強い。安田哲弘会長(写真㊧)は「病薬会員358人中270人が県薬会員で、全国でも上位の重複率が連携の基盤となっている。病院薬剤師確保の予算化・制度化が適わなかったのは非常に悔しい」と語った。
その上で「薬剤師確保は立場や職域を超えた県全体の課題。待つだけではなく、行政、県病薬、県薬の3者で連携し、要望の実現に向けて取り組む」と強調した。
出典:薬事日報


薬+読 編集部からのコメント
病院薬剤師の偏在指標が全国ワースト2の秋田県で薬剤師確保策が停滞しています。3年にわたり秋田県病院薬剤師会と秋田県薬剤師会が県と予算化交渉を続けてきまたが、2026年度も措置は見送られました。