医療

HPVワクチンの積極的勧奨再開は10月に~スケジュール遅延を懸念

薬+読 編集部からのコメント

2013年に予防接種法に基づく定期接種を開始したものの、同年から接種の積極的勧奨が差し控えられ、10月より厚労省が積極的勧奨再開の方針を示しているHPVワクチンについて、同ワクチンの積極的勧奨再開を目指す議員連盟は8月30日、HPVワクチンの速やかな再開に関する要望書を菅首相と加藤内閣官房長官、田村厚労相に提出しました。HPVワクチンを製造販売するMSDなどの製薬企業では、厚労省の要請に基づき、積極的勧奨が再開される10月までに相当数の接種が可能になるようワクチン供給の準備を進めています。

HPVワクチンの積極的勧奨再開を目指す議員連盟は8月30日、HPVワクチンの速やかな再開に関する要望書を菅義偉首相と加藤勝信内閣官房長官、田村憲久厚生労働相に提出した。厚生労働省は10月にもHPVワクチンの積極的勧奨を再開する方針を示している。議連では10月より前に積極的勧奨を再開することや、9価ワクチンの定期接種化などの実現を求めた。

HPVワクチンをめぐっては2013年に予防接種法に基づく定期接種を開始したが、副反応やその効果について被接種者や国民から様々な意見が出たことから、同年から接種の積極的勧奨が差し控えられている。接種漏れとなっている世代への対応から、ようやく10月にも積極的勧奨が再開される見通しだ。

 

議連が提出した要望書では、▽HPVワクチンの積極的勧奨を10月より前に再開するよう、必要な措置を速やかに講じること▽9価ワクチンを速やかに定期接種に加えること▽任意接種の希望者についても、定期接種と同様に費用負担なく受けられる措置を講じること▽ワクチンの予防効果とワクチン接種後の有害事象に関する医学的に正確な情報提供に努めると共に、ワクチン接種後の有害事象に対しては、自治体と連携しつつ適切な相談・診療体制の構築など不安に寄り添った丁寧な対応ができるようにすること▽性教育については医療の専門人材の活用も視野に入れた上で、妊娠や出産、避妊について必要な知識を年齢に応じた適切な形で行うことを厚労省と文部科学省が連携して十分な検討を総合的に行うこと――の5点を求めた。

 

HPVワクチンを製造販売するMSDなどの製薬企業では、厚労省の要請に基づき、積極的勧奨が再開される10月までに相当数の接種が可能になるようワクチン供給の準備を進めている。懸念しているのはスケジュール遅延だという。要望書でも「積極的再開時期が10月以降にずれ込むと、せっかく準備したワクチンを使用期限切れで廃棄しなければならない事態も想定され得る」と牽制した。

 

議連会長を務める細田博之衆議院議員は、8月26日の議連総会であいさつし、「9価ワクチンが日本でも認可されているが、日本で打たれているのは4価か2価となっており、接種も進んでいない。日本向けに製造しているメーカーからはワクチンを生産しても廃棄になるので供給を中止せざるを得ないと通告してきている」と指摘した。

 

三原じゅん子議連幹事長も、「製薬企業からの最終通告だと考えている。8年間にわたって製薬企業がつくってきたワクチンを廃棄し続けてきた重大な問題を認識しなければならない」と述べた上で、「コロナワクチンで国民への理解は得られていると感じている。接種をしたいと思った女の子にワクチンはありませんということは許されない。10月再開ということは早急に道筋を作らないといけない」と訴えた。

 

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出典:薬事日報

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