医療

田村厚労相「積極的勧奨再開を検討へ」~HPVワクチン接種で

薬+読 編集部からのコメント

2013年度から英グラクソ・スミスクラインの「サーバリックス」とMSDの「ガーダシル」が予防接種法に基づく定期接種の対象となるも、接種した人に持続的な疼痛が確認されたことなどを踏まえ、現在まで勧奨が控えられていた子宮頸癌(HPV)ワクチンについて、田村厚労相は8月31日、勧奨再開に向けた議論を開始する方針を提示。その可否を判断する専門家会議や、勧奨を担う市町村が新型コロナウイルスワクチンの関連業務に対応しているため、負担を考慮した上で議論開始することとしています。

田村憲久厚生労働相は8月31日の閣議後会見で、積極的勧奨を中止している子宮頸癌(HPV)ワクチンの接種について、勧奨再開に向けた議論を開始する方針を示した。ただ、可否を判断する専門家会議や勧奨を担う市町村が新型コロナウイルスワクチンの関連業務に対応しているため、負担を考慮した上で議論開始することとした。

HPVワクチンの接種をめぐっては、2013年度から英グラクソ・スミスクラインの「サーバリックス」とMSDの「ガーダシル」が予防接種法に基づく定期接種の対象となった。予防接種を実施する市町村は接種を促すため、対象となる小学6年~高校1年の女子や保護者にハガキ等を送付する「積極的勧奨」を行っていた。

 

ただ、接種した人に持続的な疼痛が確認されたことなどを踏まえ、同年に厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会が「副反応の頻度がより明らかになり、国民に適切な情報提供ができるまでの間は積極的に勧奨すべきでない」と結論づけたことから、現在まで勧奨が控えられている。

 

勧奨中止後、18年度に接種した人は対象者全体の0.8%にとどまり、英国の8割以上など各国の接種率を大きく下回る現状。

 

世界保健機関(WHO)が同ワクチンを「極めて安全」と評価する声明を出したり、国内でも再開を目指す自民党の議員連盟が昨年と今月の2回にわたって政府に要望書を提出するなど、再開を求める声が強まっていた。一方で、薬害被害者団体などは副反応への懸念などから、再開に反対する姿勢を示している。

 

田村氏は勧奨中止の決定時も厚労相を務めたことから、「勧奨再開をどうするかは、私に与えられた大きな宿題」と位置づけつつ、「いつまでも現在のままで良いとは考えていない。しっかりと積極的勧奨再開に向かって議論、審議してもらう必要がある」と述べた。

 

再開時期については、新型コロナウイルスの流行により、副反応検討部会ではコロナワクチンの副反応等に関する審議も行っていること、市町村もコロナワクチン接種の実務を担っているなど負担を考慮し、「可能な限り早く方向性を出さないといけないが、10月の再開は物理的に難しい」との考えを示した。

 

一方、田村氏はこの日の会見で、コロナワクチンの3回目の追加接種(ブースター接種)を実施するかどうかについても言及。「科学的知見に基づいて必要性を審議会で議論して適切に判断する。まずは、希望する人への2回接種をしっかりと進める」とした。

 

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出典:薬事日報

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