医療

零売薬局の横行を問題視~「規制強化が必要」との声も

薬+読 編集部からのコメント

医薬品の販売区分や販売方法、デジタル技術を活用した医薬品販売のあり方を検討し、医薬品医療機器等法の改正に向けた議論へと発展させる目的である厚労省の「医薬品の販売制度に関する検討会」が初会合(2月22日)を行いました。初回は処方箋なしで医療用医薬品を販売する「零売」の取り扱いについて議論され、ほとんどの構成員がルールを逸脱して零売を行っている薬局が横行する実態を問題視しました。

厚生労働省の「医薬品の販売制度に関する検討会」の初会合(写真)が22日に開かれた。今後、医薬品の販売区分や販売方法、デジタル技術を活用した医薬品販売のあり方を検討し、医薬品医療機器等法の改正に向けた議論へと発展させる。初回は処方箋なしで医療用医薬品を販売する「零売」の取り扱いについて議論し、ほぼ全ての構成員がルールを逸脱して零売を行う薬局が横行している実態を問題視した。

一般用医薬品の販売をめぐっては、通信技術の進展やオンラインでの社会活動の広がりにより、規制改革推進会議から薬局における薬剤師常駐の義務緩和を求める声が上がる一方、一般用医薬品の濫用など安全性確保に関する課題もある。こうした背景を踏まえ、検討会では医薬品販売制度の見直しに向けた議論を進めることになった。

 

今後、月1回程度の頻度で開催し、夏頃に取りまとめる。合意に至った内容については医薬品医療機器制度部会に報告し、薬機法の見直しに反映させたい考えだ。

 

初会合では、処方箋以外の医療用医薬品、いわゆる「零売」について議論した。処方箋以外の医療用医薬品は処方箋に基づく薬剤交付が原則となっているが、一般用医薬品の販売による対応を考慮したにも関わらず、やむを得ず販売を行わざるを得ない場合に限って、薬局での販売が可能としている。

 

しかし、日常的に医療用医薬品の販売を行う薬局や、「処方箋なしでお薬が買える」「市販薬より効果が高い」などの広告を行う薬局が見られるなど問題化している。

 

小瀬文彰参考人(日本零売薬局協会理事長)は、「あくまでも零売は手段の一つであり、薬が手に入らない場合に緊急避難的に販売する。零売が浸透していくのは不適切であり本意ではない」と語った。会員の零売薬局の対応についても「薬を販売すべきではないと判断した場合やOTC薬購入で対応が可能な場合は、受診勧奨やOTC薬の推奨をしている」と説明した。

 

これに対し、宮川政昭構成員(日本医師会常任理事)は、「零売の普及は医師の立場として危ういことだと考える。私が調べたところでは、年会費やクーポンを取って零売を行っていた。地域において零売で販売せざるを得ない場合は数例に限定されている」と規制強化を訴えた。

 

森昌平構成員(日本薬剤師会副会長)は、「零売が悪いということではなく、零売を主とする薬局があることが問題」と指摘した。調剤やOTC薬の販売を行わず、限られた一部の行為しか提供していないことなどを挙げ、「不適切な零売行為の横行によって、医療への適切なアクセスの阻害や適切なセルフメディケーション推進を阻害している」と批判した。

 

中島眞弓構成員(東京都福祉保健局健康安全部薬務課長)は、「都内にも零売を行っている薬局が見受けられるが、指導の根拠が局長通知なので強制力がなく、通知だけでは指導に限界がある」と述べた。

 

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出典:薬事日報

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