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5施設429人で不適切使用~アビガンのコロナ観察研究

薬+読 編集部からのコメント

2月17日、厚労省は富士フイルム富山化学の抗インフルエンザウイルス剤「アビガン錠」について、新型コロナウイルス感染症に対する観察研究における使用・管理状況等の確認結果を公表。医療機関5施設429人で不適切な使用が確認されましたが、健康被害は報告されませんでした。同社では新型コロナに対するアビガンの有効性を示すデータが得られなかったとして、すでにコロナ治療薬としての開発を中止しており、国に対する一部変更承認申請も取り下げています。

厚生労働省は17日、富士フイルム富山化学の抗インフルエンザウイルス剤「アビガン錠」(一般名:ファビピラビル)について、新型コロナウイルス感染症に対する観察研究における使用・管理状況等の確認結果を公表した。医療機関5施設429人で不適切な使用が確認されたが、健康被害は報告されなかった。

 

アビガンをめぐっては、コロナに対して承認された治療薬がなかった2020年5月、政府が観察研究の枠組みで使用を許可したものの、21年12月に新規患者への投与を止めるよう対象医療機関に要請。「供給されたアビガン全てを入院患者に処方していたか」など、適切に使用、管理していたか確認するよう求めていた。

 

今回、観察研究に参加した医療機関1166施設で確認を行ったところ、計5万1008人に投与され、1161施設では適正な管理のもとで投与が行われていたが、「入院以外の使用で、かつ緊急避難的使用でもない事例」として、適正な管理に該当しないと判断された事例が5施設429人で確認された。

 

その内訳としては、「外来処方できないと認識していなかった」が4施設427人、「曝露後予防で使用」が1施設2人だった。これらの施設から、健康被害や妊娠事例は報告されていないが、厚労省は再発防止策の提出などを求めた。

 

緊急避難的な使用と認められた事例は、19施設90人だった。詳細を見ると、「病床逼迫により入院外で投与した」12施設68人、「医療従事者や関係者への投与のため」4施設11人などとしている。

 

全1166施設が禁忌に該当する可能性のある人に対する説明・確認について「十分な説明を行った」と回答し、投与後の性交渉により妊娠が成立した事例の報告もなかった。医療機関における残薬、外来患者の手元に残った残薬も回収済みとしている。

 

富士フイルム富山化学は、コロナに対するアビガンの有効性を示すデータが得られなかったとして、コロナ治療薬としての開発を中止しており、国に対する一部変更承認申請も取り下げている。

 

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出典:薬事日報

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