薬剤処方時に上限数量設定 ~ 生活保護者対応で素案 厚労省検討会
厚生労働省は8日、医療扶助・健康管理支援等に関する検討会で、生活保護受給者における医薬品の適正使用に向けた議論の方向性(たたき台)を示した。自己負担がなく過剰給付が生じやすい生活保護受給者をめぐり、特定の薬剤に対する標準的な上限数量の設定、医療DXの活用による処方・調剤時のリアルタイムな重複投薬防止などを明記。構成員からは、医療現場と福祉事務所の密接な連携や、残薬が生じる背景に配慮した丁寧な対応を求める声が上がった。
たたき台では、医薬品の適正使用に向けて「処方・調剤時における対応等」を最重視する。オンライン資格確認の導入推進や、生活保護受給者のマイナンバーカード利用登録、お薬手帳の活用強化などを通じて現場でのリアルタイムな確認体制を構築していく。
その上で、複数医療機関の受診など情報共有が困難なケースを想定し、福祉事務所による審査済みレセプトの確認や薬局との連携といった事後的な対応も継続する。特に、薬物有害事象のリスクが高い重複・多剤投与者を効率的に抽出し、薬剤師等の専門職による指導へつなげられるようレセプト管理システムの機能強化も盛り込んだ。
焦点の一つである制度的課題への対応では、患者の状態に応じた必要量の処方に留意することを前提に、一定の薬剤に対して「標準的な上限数量」を定める方向性が示された。上限を超えて処方する場合には、医学上の必要性をレセプトに記載させるなどの制度的対応を検討する。
さらに、向精神薬をはじめとする薬剤の不正入手が疑われるケースでは、個人情報の取り扱いに留意しつつ、関係機関が連携して毅然と対応できるよう具体策を整理・明示するとした。
村杉紀明構成員(日本薬剤師会常務理事)は、オンライン資格確認などの医療DXを「一丁目一番地」としつつも「デジタルだけでは生活上の服薬実態や副作用、不安までは把握できない」と強調。「ケースワーカーが生活情報を把握し、薬剤師が薬剤管理を担う連携体制が不可欠」として、上限数量の設定や重複処方時の調剤日数制限、調整会議の活用などに賛同した。
大杉和司構成員(日本歯科医師会常務理事)も「情報がなければ重複投薬を把握できない。医療DXやマイナンバーカード、お薬手帳の運用をルール化する必要がある」と主張。福祉事務所でレセプト確認体制やケースワーカーが把握できる範囲での運用を検討するよう求めた。
一方、残薬対策をめぐっては、松本珠実構成員(日本看護協会常任理事)が「認知機能や身体機能の低下など、生活面・健康状態が影響している場合がある。残薬の背景を的確に把握し、主治医や薬局と情報共有する仕組みが必要」と訴えた。
出典:薬事日報


薬+読 編集部からのコメント
厚労省が医療扶助・健康管理支援等に関する検討会で、生活保護受給者における医薬品の適正使用に向けた議論の方向性を提示。特定薬剤に対する標準的な上限数量設定、医療DX活用による処方・調剤時のリアルタイムな重複投薬防止などが明記されています。