長期品撤退後めぐり議論 ~ PMDAで継続情報公開を 日本医薬品情報学会学術大会
長期収載品の撤退に伴い、先発品が蓄積してきた医薬品情報をどのように継承していくか――。11日に都内で開かれた日本医薬品情報学会学術大会では、長期収載品撤退後の情報提供のあり方をめぐり議論した。複数の演者からは、長期収載品と後発品のインタビューフォーム(IF)に情報量や内容の差異があることを踏まえ、「医薬品医療機器総合機構(PMDA)などで販売終了後も情報公開を継続する仕組みが必要」との提言が相次いだ。
2026年度薬価制度改革では、先発品メーカーが長期収載品から撤退し、後発品メーカーへ市場を引き継ぐG1ルールを見直した。後発品収載後5年が経過した長期収載品をG1ルールの対象とし、先発品の市場撤退が進む見通しとなっている。これに伴い、PMDAに公開している先発品の製品情報が削除され、医療関係者がアクセスできなくなる懸念が指摘されている。
後藤伸之氏(名城大学薬学部)は、市場撤退が予定されている抗癌剤「ジェムザール」(一般名:ゲムシタビン)のIFについて、先発品と後発品を比較した結果を紹介。後発品の「安全性・非臨床試験」に関する記載は、先発品の1割程度にとどまっている実態を示した。
その上で、後藤氏は「新人の医師や薬剤師にとっては、長期収載品であっても初めて接する薬であり、未知の薬でもある。必要な情報にアクセスできる環境を維持することは医療、行政、企業の関係者が考えるべき課題だ」と訴えた。
大野公嗣氏(日本ジェネリック製薬協会安全性委員会)は、「後発品メーカーが添付文書を作成し、それに基づく情報提供を行う上で、先発品と同等の情報提供が困難なケースがある」と指摘。
「長期収載品の情報が失われることに危機感を抱いている」と述べた。
また、後発品メーカー7社のコールセンターを対象に調査したところ、医療関係者からの問い合わせ対応で長期収載品のIFを「活用している」と全社が回答。長期収載品が薬価削除された場合には、「回答が困難になる」との認識を示した。
さらに、「先発品と後発品のIFには情報の差異が存在する」とした上で、後発品を製造販売している502品目のうち43品目で先発品が既に撤退または撤退予定を公表していると説明。
「PMDAが公開している長期収載品の添付文書やIFについては継続的に公開する仕組みを検討すべきではないか」と提案した。
菊地主税氏(ヴィアトリス製薬)も、「先発品の重要な製品情報について、最終更新版をPMDAのホームページなどで継続公開する仕組みを検討すべきだ」と主張。後発品市場でシェア上位の製品から「参照後発品」を1品目選定し、その添付文書を基軸として維持・管理していく案も示した。
これに対し、安川孝志氏(厚生労働省医薬局医薬安全対策課)は、今後製薬業界と行政との意見交換の場で長期収載品のあり方について議論を進める計画に触れ、「PMDAで情報提供を継続する場合、現時点では一律の公開ルールがないため、まずルール整備が必要になる」と述べた。
一方で、「医療現場で情報を活用する薬剤師の視点が重要だ。長期収載品の情報に依存し続けることが適切なのかも含め、関係団体として意見を整理してほしい」と呼びかけた。
出典:薬事日報


薬+読 編集部からのコメント
日本医薬品情報学会学術大会(7月11日、都内)において、長期収載品撤退後の情報提供のあり方をめぐり議論されました。「医薬品医療機器総合機構(PMDA)などで販売終了後も情報公開を継続する仕組みが必要」との提言が相次いでいます。