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薬の供給不安「大きな問題」~高田新会長、早急な解消に努める考え【日本ジェネリック製薬協会】

薬+読 編集部からのコメント

5月31日の日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)定期総会で新会長に就任した高田浩樹氏(高田製薬社長)は、後発品メーカーの不正事案が止まない現状を踏まえ、問題解決に全力を挙げる考えを表明しました。具体的には、現場が強く求めている各社の供給状況情報について、情報開示サイトの改修を9月中に行い迅速に公開するとしている。新たに導入する外部監査については今年度内の本格実施を目指し、信頼回復を図るとしています。

日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)の新会長に5月に就任した高田浩樹氏(高田製薬社長)は、本紙のインタビューに応じ、「会員企業の不祥事によって不信感を与えたことを申し訳なく思う。必要とする薬を届けられず、患者さんに不安を抱かせてしまったことは非常に大きな問題と認識している」と述べた上で、会員各社の努力と、厚生労働省、関係団体と協力しながら「早急に供給不安の解消に努めていきたい」と問題解決に全力を挙げる考えを表明した。

 

まずは現場が強く求める各社の供給状況情報について、情報開示サイトを9月中に改修を終え、迅速に開示し分かりやすい内容に改める。新たに導入する外部監査については「積極的に進めたい」とし、今年度内の本格実施を目指す。

業界の信頼回復に決意

高田氏は、「品質をめぐる不祥事により後発品に対する信用が失墜している中での会長就任となった。まずやるべきことは、品質問題に端を発した供給不安の解消。安定供給に向けしっかり取り組んでいかなければならない。同時にいかに信頼回復を図るか、それらを最優先に取り組む」と就任の決意を語った。

 

安定供給状態を回復するまで時間については、3年程度かかるとの認識を示した。各社とも増産体制を敷いているものの、バリデーションを経て安定供給を回復するまでの時間に加え、コロナ禍、ロシア・ウクライナの戦争に伴う設備投資に必要な部材調達の遅れも出てきていると説明した。

 

日医工のADR手続きも懸念材料に挙げ、不採算品の対応など「状況を注視している。厚労省と情報共有をしっかりやっていく」と述べた。

 

その上で、各社製品の供給状況を情報開示することが重要として、GE薬協の情報提供サイトを改修し、数日かかっていた更新を随時、タイムリーに情報をアップする。日本製薬団体連合会が定めた供給状況に関する用語の定義に基づき出荷状況などの情報を迅速に分かりやすく開示する。

 

当初は今月にも改修予定だったが、内容を詰めている段階で、9月中に改修を終える予定とした。GE薬協以外の企業にも統一フォーマットによる情報開示をしていくよう「声がけしたい」との考えを示した。

 

新たに導入する外部監査は、各社工場の管理に外部の第三者の視点を入れるもので、医薬品・食品品質保証支援センター(QAセンター)と共同で実施し、沢井製薬を対象にモデル監査を実施することを明らかにした。監査結果を検証した上で、今年度中に本格実施に移す。

 

実施は会員各社の手上げ方式になるが、高田氏は「査察が不十分で再び問題が起こるようなことがあってはいけないので、外部の目を入れることは積極的に進めたい」と述べ、多くの企業の実施に期待を寄せた。

 

実効性が問われた総括製造販売責任者(総責)のあり方については、「今回改めて問われた。総責の役割は非常に大きい」と述べ、会長直轄で「総責会議」を新設したことを明らかにした。5日に初会合を開催したという。総責に関連する課題を共有し、共通の課題を各社でも対応を進めていく仕組みで、2~3カ月に1回程度の頻度で行い、「総責と理想と現実のギャップを埋めていく」と説明した。

 

各社の内部通報制度の実効性が確保されるようGE薬協として引き続き運用面などで支援していく考えを示した。

 

薬価制度については、「どんな薬価制度であっても安定供給するのはわれわれ各社の責務」と断った上で、中間年改定の導入で薬価の下落スピードが加速し、不採算品が増加することに懸念を表明。「どう対応するかが課題」とした。

 

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出典:薬事日報

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