薬剤師の働き方 公開日:2018.08.09更新日:2019.04.19 薬剤師の働き方

薬剤師さん必見! 後悔しない転職の思考法3つのポイント

衝動的な転職は失敗のもと! 転職したい本当の理由、考えたことありますか?

「転職をしたい」と考えるときには、いくつかの理由や原因があることでしょう。でも、それが本当に転職の理由になりうるのか、まずは見極めることが大切です。
さらに、将来どのような薬剤師になりたいのか、未来の自分を描いてみましょう。その結果、何のために転職をするのか、いつまでにどんなスキルを身につける必要があるのかなどが見えてきます。今回は以下の3つのポイントから、失敗しない転職について考えてみましょう。

失敗しない転職のための思考法3つのポイント

  1. 1. 転職理由を掘り下げること
  2. 2. 将来のビジョンを描くこと
  3. 3. スキルアップのタイミングが大事

 

それでは、具体的に確認していきましょう。

Point1 転職したい理由を掘り下げてみよう

誰しも1度は転職を考えることがあるでしょう。
何かのきっかけで「転職」を意識するようになったとき、なぜ転職したいのかをもう一度、冷静に見つめてみましょう。

 

転職理由の具体例を書いてみる

■「残業が多くて家族との時間がとれないから、就業時間の希望が叶うところに転職したい」

■「限られた内容の処方箋しか扱えない職場から、総合的な複数の処方箋が扱える職場へ移りたい」

■「収入と労働量が見合っていない気がするから転職したい」

 

など、さまざまな理由が考えられます。こうした転職理由が思い浮かんだら、まずはその裏に潜んでいる本当の理由を探る時間が必要です。あくまでも例に挙げた理由は転職を考えるきっかけになった事象にすぎません。

 

転職理由を分析してみると
■「残業が多くて家族との時間がとれない~」の場合は、
「生活の充実」「家族のあり方と仕事の仕方のバランス」「残業がこなせる体力、年齢との兼ね合い」などワークライフバランスに不安と不満を感じ始めていることが考えられます。

 

■「限られえた内容の処方箋しか扱えない~」の場合は、
「薬剤師としての知識、経験、スキル」を高めて、次の展開を図りたいというキャリアアップに対する希望が高まっているのではないでしょうか。

 

■「収入と労働量が見合わない~」の場合は、
きっかけは収入アップを希望していると考えがちですが、収入の安定と労働環境のバランスを求めることは、ゆとりのできた環境で自分を高めるチャンスを作りたいと考えているからだと考えられます。

 

表面的な理由の奥には、自分がもっとも変えたいと願っている理由と求めている姿があるはずです。まずは、なぜそうした理由が思い浮かぶのか、自分で分析をしながら、根本となる悩みを探ってみましょう。

Point2 将来ビジョン=なりたい薬剤師像を描くと見えてくる転職先

働いているうちに「もうこんな職場、嫌だ」と思うことはありませんか? 例えば「人間関係」「残業が多く給与が上がらない」といった悩みは上位にあがる転職理由といえるでしょう。
人間関係については、とくに調剤薬局勤務の薬剤師の場合、狭くて密な人間関係が継続されやすいため、感じやすい不満のひとつです。調剤に関してミスが許されない仕事のため、複数の薬剤師が1枚の処方箋への対応をチェックするという職場が多くありますが、ちょっとしたタイミングのズレ、感覚の違いなどが積み重なり、「合わない人」が出てきてしまいます。いったん好ましくない感情を認識してしまうと、その相手といっしょに仕事をすることがストレスに感じるようになります。

 

一方、大きなドラッグストアのような職場であれば、薬剤師同士で合わない人がいたとしても、店舗内にはパート職員、レジ係のスタッフなどその他の業務を担当する人も多く、他のスタッフとのつながりが気分転換や緩衝剤となり、ストレスも溜まりにくいようです。

 

また、残業が多く給与が上がらないという理由については、自分はテキパキと作業をこなし、残業を少なくしたくても、チームで対応することの多い調剤薬局では、自分だけががんばっても作業効率が上がらず、どうしても長時間勤務になるといった不満がたまりやすくなります。そのうえ、小さな調剤薬局では、管理薬剤師と一般薬剤師の給与額の違いも大きく、自分のがんばりが正当に評価されないという思いがつのってしまいます。

 

突発的な転職を決行する前に

こうした不満がたまると、突発的に転職を決行してしまう要因になります。しかし、突発的な行動は後悔しやすいやすいもの。まずは職場でできる改善を考えましょう。

 

例えば、残業をできるだけ減らすためにも、調剤しやすいように薬品配置に工夫をするといった環境への改善提案をするとか、調剤作業のスキルアップのための勉強会を企画してみるなど、職場全体が一丸となって取り組めることを提案することも一案です。
また、現状が自分のストレスの原因になっていることを論理的にまとめ、上司に相談することも必要でしょう。とはいえ、そうした改善策をとっても、望み薄な場合も少なくありません。だからといって、いきなりやめてしまうのはおすすめできません。
まずは、スキルアップしながらキャリアを積んでいけるような転職を目指し、将来ビジョンを描くことから始めましょう。専門的な知識を高めたいのなら治験業界をめざすのもひとつの方向です。臨床開発に関わりながら、新薬の開発の現場を知ることで新たなスキルを身につけることができます。

 

また、調剤薬局でも地域のかかりつけ医院と連携しているようなところなら、患者さんの一人ひとりの病状や生活習慣などを把握し、かかりつけ薬剤師としての役割を担うことになるでしょう。そうした患者さんとの関わりを重視してキャリアを高めるといった、働き方の方向性を考えてみましょう。
大切なのは自分がなりたい薬剤師像を描くこと。つまりゴールとなる形をしっかりと意識してみましょう。

Point3 スキルアップのための転職はタイミングが大切

実際に、どのようなタイミングでどんなスキルを身につければ、将来なりたい薬剤師になるための近道になるのでしょうか。なりたい薬剤師像=ゴールが設定できたら、次は短期・中期・長期の目標を定めましょう。

 

■短期目標は、1年後、2年後までに身につけておきたいスキルを明確にしておきます。

■中期目標は、スキルと収入なども合わせて細かい設定を行います。同時に、生活環境の変化なども合わせて考えておく必要があります。
例えば、結婚、出産、子どもの受験や入学、あるいは親の介護など、どうしても家族との関わりが優先される時期もあることでしょう。そうしたタイミングでの転職は、ストレスになる可能性も考えられます。

■長期目標は、最終ゴールとして、どんな薬剤師を目指しているのかを具体的に描くのがポイントです。必要となる資格などを考え、短期、中期目標に落とし込むようにしましょう。

 

短期・中期・長期の目標設定を行ったら、次の段階へと進むタイミングとしての転職を考えましょう。同じ職場でも次の段階へと進むことは可能ですが、より自分が求める姿に近づける職場へと移ることで、目標達成が容易になることもあります。

 

短期目標で薬剤師としてのマナーや業務を身につけたら、より経験の積める総合病院への転職を希望し、さまざまな処方箋への対応を身につけることも良いでしょう。
高齢者医療などの知識や資格をその間に取得し、地域密着型の調剤薬局で、管理薬剤師、かかりつけ薬剤師として患者さんと向き合う医療従事者をめざすといった将来設計もあります。なりたい姿をしっかりと見極めて転職先を探すとよいでしょう。

まとめ 後悔しない転職をするために

転職を考えるような要因があったとしても、工夫して同じ職場に勤め続けながらキャリアを積み、信頼される薬剤師になるのも、選択のひとつです。でも、どうしても自分に条件や慣習が合わない職場で努力しても状況がなかなか変わらない場合は、より自分にマッチした職場を探すことで、将来の自分の理想に向かって道が開けるかもしれません。
また、職場の環境の違いを体験するだけで、新たな発見や気づきがあることは事実であり、それは薬剤師としてのスキルを高めるきっかけにもなります。
重要なのは、自分が将来どのような働き方をしたいのか明確なビジョンを持つこと。目の前の不満に左右されず、満足できる転職を考えたいですね。

 

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