薬剤師の働き方 薬剤師の働き方

「薬剤師を辞めたい」仕事に魅力を感じなくなったときの対処法 文:加藤鉄也(研修認定薬剤師、JPALSレベル6)

最悪な人間関係、ルーティンワーク、冷たい患者さん……「つまらない」と感じる原因は?

薬剤師の仕事は多岐にわたります。調剤や服薬指導、薬歴の記入、発注業務……勤務形態は人それぞれですが、業務量が多くハードワークになりがちです。その一方、毎日同じようなルーティンワークの繰り返しで気持ちがすり減ってしまうこともあるでしょう。あるいは人間関係に悩んで職場に行きたくないというケースもあるかもしれません。今回は、薬剤師が「辞めたい」と感じる理由とその対処方法を考えます。

1. 薬剤師を「辞めたい」代表的な理由

どんな職種でも、仕事を辞めたくなる瞬間があるものです。一生懸命仕事に向かい合っていても、自分の仕事に対して疑問を感じることがあります。具体的に、どういったときに「薬剤師を辞めたい」と感じるのでしょうか。
 

ルーティンワークばかりでつまらない

同じような内容の処方が多い環境では、刺激がなく気持ちがすり減ってしまうこともあるでしょう。処方だけではありません。事務作業や電話対応まで求められる薬局の場合、ルーティンワークに退屈をおぼえる薬剤師の方も少なくないでしょう。あるいは、処方箋応需枚数が多いような多忙な薬局では、数をこなすことに必死になり患者さん一人ひとりに対してていねいに向き合う時間が十分にとれないこともあります。目の前の業務だけに必死になって対応する日々のなかで、薬剤師としての「やりがい」を実感できなくなってしまうかもしれません。

 

仕事のフォローがない

調剤薬局で働く薬剤師は、散剤、軟膏混合、一包化などの処方箋を同時に受け付けるなど、とても忙しい状況に陥ることがあります。そんなときに周囲の薬剤師が薬歴を書いていたり、おしゃべりをしていたりして手伝ってくれる気配がない……そんな同僚の態度にストレスがたまるというケースもあります。薬局内で協力・連携ができなければ最終的には患者さんを待たせてしまうことにつながるにもかかわらず、お互いにフォローできる環境が整備されていない場合、ジレンマを感じて仕事自体へのモチベーションを下げてしまう薬剤師もいるでしょう。

 

患者さんの反応が冷たい

患者さんのためを思い一生懸命服薬指導をしていても、当の患者さんからは「分かっているよ」「どうせいつもの薬でしょ」「時間がないから」などと冷たい反応をされることがあります。とくに薬剤師になったばかりの頃、冷たい反応をされたときに瞬間的に落ち込んでしまうといった経験は誰もが一度はしているのではないでしょうか。このような患者さんの言動を発端に、患者さんの役に立てている実感が得られず、薬剤師の存在価値に対して疑問を感じてしまうこともあるかもしれません。

 

人間関係が悪い

「職場の人間関係」はあらゆる職種で「辞めたい」理由の筆頭に挙がる要素ですが、薬剤師の場合も例外ではありません。とくに薬剤師の場合、勤務中はほぼ同じメンバーで長時間を過ごすことになりますから、ささいなことからトラブルに発展するケースもあります。とくに新人の頃は、先輩や上司が理不尽に厳しかったり冷たかったりすると、不満に感じやる気が低下してしまいます。業務のことで先輩に相談をしたくても「忙しいから」と相手にされなかったり、「後にして」とたらい回しにされたりするといった状況に陥ると誰を頼ることもできず、どうしたらいいのかわからなくなるでしょう。あるいは意を決して上司に質問をすると「そんなこともわからないのか」などと罵倒される……そんな経験をした薬剤師は萎縮してしまいます。業務に必要な質問すらもできないような環境では、ストレスを感じて当然です。
 
「職場の人間関係」の悩みは上司や先輩との人間関係だけにとどまりません。少しでもミスをすると「〇〇さんがミスしたそうよ」とわざと聞こえるように言う意地悪な同僚に悩まされるケースもあります。自分のことを直接言われていなくても、休憩時間に「仕事がキツイ」「〇〇さんは仕事ができない」といった愚痴や不満が多く聞こえてくる環境も仕事のモチベーションが低下する要因のひとつになり得ます。

 

薬剤師の未来が不安

現在、調剤報酬が引き下げられる傾向にあり、薬剤師の行く末に不安を感じることもあるでしょう。調剤薬局や調剤薬局併設型のドラッグストアが乱立し競争が激化するなか、自身の勤務先は生き残ることができるのか不安になってしまうかもしれません。はたまた薬剤師の仕事は必要なくなってしまうのではないか、この先自分がやりたい仕事ができるのか、といった漠然とした不安にとらわれることもあるのではないでしょうか。

2. 「辞めたい」と思ったら考えるべきこと

上述したように、薬剤師を「辞めたい」と感じる理由にはさまざまものがあります。細かく見ていくと、薬剤師の仕事そのものよりも周囲との関係性や勤務先の環境が重要な要因になっているケースが多いことがわかります。ところが、気持ちに余裕がなくなると、客観的に現状を把握できなくなり薬剤師の仕事そのものから衝動的に離れたくなってしまう可能性があります。もしも薬剤師の仕事や今の職場を「辞めたい」と感じ始めたら、周囲との関係性や勤務先の環境を改善できる余地はないか、まずは検討してみましょう。

 

拒否されることを怖がらない

業務量が多く多忙な職場では、どんなに努力をしてもひとりだけでできることは限られています。一生懸命作業をしても時間がかかってしまうときには、自信をもって周囲に協力を仰ぎましょう。他の作業をしている薬剤師や先輩薬剤師にフォローを頼むのは勇気のいることかもしれませんが、「拒否されるのではないか」といった不安を前提にせずお願いしましょう。「患者さんを待たせないため」だという共通認識のある職場なら、快く引き受けてもらえるでしょう。適切な言い方でお願いしても協力をしてもらえないときは、上司に相談をしてみましょう。

 

コミュニケーションの方法を変えてみる

患者さんが、薬局や薬剤師に求める要望はさまざまです。薬の相互作用や薬効に関する説明を求めていることもあれば、OTC販売や健康にまつわる情報、介護環境の話を聞きたいと思っている可能性もありますし、GE医薬品についての相談や薬の飲み方に関する提案、在宅訪問の希望など、一見わからなくても多くのニーズを抱えている可能性があります。
 
一方で、「必要最低限の説明だけで早く薬をもらいたい」と考える、効率重視の患者さんがいるのも事実です。効率重視の患者さんには、「説明を短く済ませて早く薬を渡してもらいたい」というニーズがあり、そうした対処をしてもらえる薬局を「良い薬局」だと感じるのでしょう。
 
しかし、たとえ患者さんが求めているニーズとは異なっていても、「必要な服薬指導を行う」といった薬剤師の責務を忘れてはなりません。患者さんにお渡しする薬に対してしっかりと服薬指導を行うことは絶対に必要です。
 
ただ、患者さんの体調や気持ちは一定ではなく、薬局を訪れた際の反応だけではわからないこともあるということに留意しましょう。薬局を訪れた際はとにかく急いでいて「詳しい説明は必要ない」と主張する患者さんでも、次回の来局の際には「相談にのってほしい」と考えている場合もあります。薬剤師の話し方や接し方、本人の体調などによって患者さんの気持ちは揺れ動くため、コミュニケーションのとり方を変えてみると良いかもしれません。
 
すべての患者さんに対して、薬剤師としてやるべき仕事をすることはとても大切です。一方で、対応が難しい患者さんがいるときには、要望を汲み取り、患者さんにとって必要と感じた接遇をメリハリよく行うようにしましょう。

 

人間関係の問題は解決が難しい

上述したように、「人間関係」は仕事を辞めたくなってしまう代表的な理由であり、かつ解決が難しい理由です。同僚という相手がいる問題ですから、自分だけの不満を解消しようとしても状況を変える手段が容易には見つからないことがほとんどでしょう。
 
いつも特定の相手と「相性が悪い」と感じていて、異動や配置替えが定期的に行われる職場でしたら、「次の異動までのガマン」と耐えてやり過ごす方法もあります。一方、配置替えなどがなく苦手な同僚と関わる機会が多い場合は、上司やさらにその上位の職位の上司に相談するのもひとつの手です。
 
「上司に相談をしたけど変わらない」「相談すらせずに一刻も早く辞めたい」という場合は思い切って転職をする方法もあります。ですが、人間同士のかかわりはどの職場でも欠かせないため、新しい職場に行っても同じようなトラブルが起こる可能性があることは念頭に置いておきましょう。

 

客観的に判断できる人に相談する

上司や社長、会社方針に不満を持つ場合、経験年数が長い薬剤師でも、本当に勤務先に問題があるのかを見極めるのは難しいでしょう。自分が一方的に不満を感じているだけで、実は時流にのった適切な経営判断ができている可能性もあります。
 
判断に迷ったときは、経験豊富な第三者からの意見が必要です。友人や家族でもかまいませんが、なるべく薬剤師業界に詳しい人や色々な職場を経験している薬剤師など、同僚以外で薬剤師としての働き方や職場の雰囲気を理解している人に相談しましょう。客観的な視点からの意見を聞くうちに、自分では気が付かなかった職場の魅力を再発見することもあります。

3. 「辞めたい」という気持ちに流されない

誰でも仕事へのモチベーションが下がり、「辞めたい」と感じる瞬間があるものです。しかし、ネガティブな感情のままによく考えもせず転職をすることは避けましょう。薬剤師はひく手あまたなため、退職をしてもすぐに次の職場が見つかるケースが多いとは思いますが、転職先でも同様の問題を抱えていたり、前職よりも待遇が下がったり、労働時間が増えたりするなどマイナス要素が増加する可能性があります。
 
そのため、なぜ「辞めたい」と思うのか、今の勤務環境のどのような点に不満をもっているのか、自分自身と徹底的に向き合うことも大切です。自分自身だけでは冷静に考えられない場合は経験豊かな人を頼って相談しましょう。新たな視点や解決方法が見つかるかもしれません。
 

薬読編集部からのコメント
周囲に相談できる人がいない……という方はマイナビの薬剤師専門のキャリアアドバイザーに相談をしてみませんか? これまでのキャリアの棚卸しができるだけでなく、ご自身の仕事観を整理する絶好の機会にもなります。キャリアアドバイザーは転職のプロですので、興味のある方には転職市場動向についてもご案内が可能です。


執筆/加藤鉄也

薬剤師。研修認定薬剤師。JPALSレベル6。2児の父。
大学院卒業後、製薬会社の海外臨床開発業務に従事。その後、調剤薬局薬剤師として働き、現在は株式会社オーエスで薬剤師として勤務。小児、循環器、糖尿病、がんなどの幅広い領域の薬物治療に携わる。医療や薬など薬剤師として気になるトピックについて記事を執筆。趣味は子育てとペットのポメラニアン、ハムスターと遊ぶこと。

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