薬剤師のスキルアップ 公開日:2022.08.25 薬剤師のスキルアップ

自家製剤加算は2022年度調剤報酬改定でどう変わる?算定要件をチェック 文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

2022年度の診療報酬改定で、自家製剤加算の要件が見直されました。日常業務で自家製剤加算を算定するケースは度々あります。調剤報酬の算定漏れや過剰算定を防ぐために、薬局薬剤師は正確な知識を持っておきたいもの。今回は、自家製剤加算の算定要件について確認するとともに、計量混合調剤加算についても算定方法をおさらいしましょう。

1.自家製剤加算の改定ポイント

2020年度改定までは、錠剤を半錠にする際に算定する自家製剤加算について、「割線のある錠剤を医師の指示に基づき分割した場合は、錠剤として算定する」という記載がありました。
 
ここで指す「割線のある錠剤」とは、添付文書上に「割線入りの錠剤」と記載されている錠剤のことです。そのため、割線のない錠剤や割線のようなくぼみがある錠剤を半錠にしても地域によっては算定ができないこともあったようです。
 
臨床現場では、添付文書に「割線入りの錠剤」と記載されていない薬剤を半錠に分割することもあります。

2022年度の改定では、錠剤を分割する場合は割線の有無にかかわらず自家製剤加算を算定できることとなり、実務に見合った改定となりました。なお、錠剤の分割による自家製剤加算は、所定点数を100分の20にし、小数点以下第一位を四捨五入した点数を算定することとなり、算定できる点数が下がっています
 
また、自家製剤加算における同一剤形の範囲についても、疑義解釈によって以下のように明確になりました。

 

【内用薬】
1、錠剤、口腔内崩壊錠、分散錠、粒状錠、カプセル剤、丸剤
2、散剤、顆粒剤、細粒剤、末剤

(「厚生労働省 頭紙「薬価算定の基準について」別表1より)

 

内服薬について、1、2はそれぞれ別剤形として取り扱うこととなりました。なお、上記の同一剤形の範囲については、調剤時のジェネリック医薬品への変更に関する剤形の範囲の取り扱いとは異なります。混同しないように気を付けましょう。

 
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2.自家製剤加算の算定要件

自家製剤加算は、「市販されている医薬品の剤形で対応できないときに、医師の指示に基づいて、容易に服用できるよう調剤上の特殊な技術工夫を行った場合」、1調剤ごとに算定できる点数です。
 
調剤上の特殊な技術工夫とは、安定剤、溶解補助剤、懸濁剤等の添加剤を加えて調剤した場合やろ過、加温、滅菌等を行うことを指します。「錠剤を粉砕して散剤とする」「主薬を溶解して点眼剤を無菌で調剤する」「主薬に基剤を加えて坐剤とする」といった場合に算定できます。

ただし、自家製剤加算を算定した場合は、計量混合調剤加算は算定できません。どちらにも該当する場合は、点数の高い方を算定するのが一般的です。また、既製剤を単に小分けする場合も自家製剤加算を算定できません。例えば、ボトルで販売されているセフゾン細粒小児用10%を分包するだけでは自家製剤加算は算定できないので注意しましょう。

3.自家製剤加算の点数

点数は剤形と用法によって決まっています。点眼剤や坐剤については、1調剤ごとに算定することができ、液剤以外の内服薬については、7日分ごとに所定の点数を算定します。予製剤や錠剤を分割した場合は100分の20の点数を算定することになります。
 
予製剤とは、あらかじめ想定される調剤のために、複数回分を製剤して、処方せん受付時に投与することをいいます。

 

■内服薬と屯服薬


 

■外用薬

(「厚生労働省 頭紙「薬価算定の基準について」別表1をもとに作成)

 

錠剤の半割や粉砕など自家製剤加算ができる可能性のある薬が処方された場合、算定の有無を調剤録や調剤明細書で確認しましょう。算定されている場合は算定要件を満たしているかをチェックして、点数計算が正しいかを確認します。剤形や日数によって点数が異なり複雑なため、最初はメモをとるなどして慎重に鑑査を行うとよいでしょう。

 
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4.自家製剤加算を算定する際の注意点

自家製剤加算を算定する際の注意点について見ていきましょう。

 

4-1.半錠に相当する規格の医薬品がある場合

錠剤を分割したときに相当する規格の医薬品がある場合、自家製剤加算を算定することはできません。例えば、アムロジンには2.5㎎、5㎎、10㎎の規格が存在します。アムロジン10㎎を分割すると5㎎に、アムロジン5㎎を分割すると2.5㎎となり、この用量の錠剤が販売されていることから、アムロジン10㎎と5㎎に関しては自家製剤加算を算定できません。

 

では、プレドニン5㎎についてはどうでしょうか。プレドニン5㎎には2.5㎎という規格がありませんので、自家製剤加算が算定できそうに思えます。しかし、ジェネリック医薬品にプレドニゾロン「NP」2.5㎎があるため、こちらに処方変更することで半錠に相当する用量が服用可能となり、自家製剤加算は算定できません。錠剤の分割による自家製剤加算を算定する場合は、同一薬剤の規格ではなく同一成分で判断する必要があります。

 

4-2.使用時に溶解する医薬品を交付時に溶解した場合

使用時に溶解する医薬品の例として、ドライシロップがあげられます。日本薬局方製剤総則でドライシロップは、「そのまま」または「用時溶解」もしくは「用時懸濁(けんだく)」して用いることが定められているため、使用時に溶解する医薬品に含まれます。
 
また、ドライシロップの算定については「調剤報酬点数表に関する事項」で以下のように定められています。

 

「ドライシロップ剤を投与する場合において、調剤の際に溶解し、液剤(シロップ剤)にして患者に投与するときは内服用液剤として算定し、散剤としてそのまま投与するときは内服用固形剤として算定する」

(厚生労働省「調剤報酬点数表に関する事項」より)

 

ドライシロップを溶解して交付するケースとして、液剤とドライシロップの混合があげられます。これは液剤と液剤を混合したことになるため、自家製剤加算ではなく計量混合調剤加算を算定します。
 
また、ドライシロップ剤を水に溶かして同時服用の他の液剤と一緒に投与する場合は1剤として算定し、ドライシロップ剤を散剤として同時服用の他の固形剤(錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等)と一緒に投与する場合も1剤として算定します。

5.自家製剤加算を計算してみよう

では、実際に日常業務でよく出会う「錠剤の半割と粉砕」の具体的な処方例について考えてみましょう。なお、実際にはさまざまな規格が流通しており、医薬品の販売開始・販売中止などがあります。以下の処方例については、医薬品の販売状況によって算定の可否が変更される可能性があることをご留意ください。

 

<処方例1>
Rp1)
フルイトラン錠2mg 0.5錠 朝食後 28日分

 

上記の薬が処方された場合、フルイトラン錠1mgが市販されているため、算定することができません。半割した際の規格が市販されていないかをチェックすることが大切です。

 

<処方例2>
Rp1)メインテート錠0.625mg 0.5錠 朝食後 28日分
Rp2)ラシックス錠10mg 0.5錠 朝食後 14日分

 

メインテート0.3125mg、ラシックス5mgの用量は市販されていません。また、処方日数が異なるため2調剤であり、それぞれで算定することができます。錠剤の内服薬のため計算すると以下となります。
 
Rp1)20×28/7×20/100=16点
Rp2)20×14/7×20/100=8点

 
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<処方例3>
Rp1)ラシックス錠10mg 0.25錠(粉砕) 朝食後 14日分
Rp2)メインテート錠0.625mg 0.25錠(粉砕) 朝食後 28日分

 

先程同様ラシックス錠2.5mgは市販されていません。しかし、ラシックス細粒4%が販売されており、市販薬による対応が可能なため、Rp1は算定することができません
 
一方、メインテート錠0.625mgの4分割製剤や細粒は市販されていませんので、変わらず散剤の内服薬として、20×4=80点を算定することができます

 

<処方例4>
Rp1)アマリール錠3㎎ 0.5錠 朝食後 30日分

 

アマリール錠とジェネリック医薬品には0.5㎎、1㎎、3㎎の規格があります。1.5㎎は販売されていませんが、アマリール1㎎と0.5㎎を組み合わせて1.5㎎にすることができます。そのため、自家製剤加算は算定できないと考える人もいるでしょう。しかし、このケースでは「半錠にした規格が薬価基準に収載されていること」が要件となるため、自家製剤加算が算定できます。

 

<処方例5>
A細粒小児用10% 1.3g
Bシロップ5% 9ml
毎食後 5日分 (混合)

 

このケースでは、散剤(A)と液剤(B)の混合のため、自家製剤加算の液剤に該当する45点を算定します。

 
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6.計量混合調剤加算の算定要件と点数

もう一つ代表的な調剤料の加算に「計量混合調剤加算」があります。計量混合調剤加算は「薬価基準に収載されている2種類以上の医薬品を計量して、混合して調剤した場合」に算定できる点数です。

対象となる剤形は液剤、散剤、顆粒剤または軟・硬軟剤の4種類のみ。投与量や投与日数にかかわらず、計量して混合する1調剤行為に対して所定の点数を算定します。ただし、自家製剤加算を算定した場合、計量混合調剤加算は算定できません。また、服用時点と服用日数が同一である場合、計量混合調剤加算をそれぞれに算定することはできず、「1調剤」ごとの算定となります。

 

■計量混合調剤加算の点数

日本薬剤師会「調剤報酬点数表[令和4年4月1日施行]」 をもとに作成)

 
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7.計量混合調剤加算の算定をする際の注意点

計量混合調剤加算を算定する際の注意点を見ていきましょう。

 

7-1.同一剤形・同一規格の医薬品が薬価基準に収載されている場合

自家製剤加算と同様に、調剤した医薬品と同一剤形、同一規格の医薬品が存在する場合には算定することができません。例えば、リンデロンV軟膏とゲンタシン軟膏を混合する場合、それぞれの混合割合がリンデロンVG軟膏と同じ場合は、同一剤形・同一規格となるため、計量混合調剤加算は算定できません。

 

7-2.ドライシロップと液剤を混合した場合

前述した通り、ドライシロップ剤を液剤と混合した場合は、計量混合調剤加算を算定します。「調剤報酬点数表に関する事項」でも記載されており、自家製剤加算は算定できないケースであることを覚えておきましょう。

 

7-3.「計量かつ混合」を行うことで算定できる

計量混合調剤加算は、薬価基準に収載されている2種類以上の医薬品を「計量かつ混合」した場合に算定することが認められています。したがって、あらかじめ所定の分量が計量された分包品を使用して調剤した場合には、計量混合調剤加算を算定することは認められていません。これは分包品の販売の有無ではなく、実際の調剤行為に分包品を使用したかどうかで判断されます。

8.計量混合調剤加算を計算してみよう

それでは具体的な処方の例をみながら、算定方法を考えてみましょう。

 

<処方例6>
Rp1)
ムコダインシロップ5% 6ml
アスベリンシロップ0.5% 3ml
ペリアクチンシロップ0.04% 3ml 毎食後 7日分(混合)

 

3種類の液剤を計量し、混合して調剤しているため、計量混合調剤加算を算定することができます。日数に関係なく1調剤行為による算定のため、液剤の35点を算定することになります。

 

<処方例7>
Rp1) 
ペリアクチン散1% 0.1g
乳糖「ホエイ」  0.1g 朝夕食後 5日分(混合)

 

ペリアクチン散の一回量が少ないため、小児が正確に、容易に服用できるように乳糖を賦形した処方です。計量混合調剤加算は医療上の理由で医師の指示で賦形剤を使用した場合も算定が可能であり、散剤の45点を算定できます。ただし、医師の指示がない場合に水分量の調整などのために薬局側が勝手に行った単シロップの賦形などは算定することはできません。

 

<処方例8>
Rp1)
ヒルドイドソフト軟膏0.3% 25g
アンテベート軟膏0.05% 25g 腕、足に塗布(混合)

 

上記の処方の場合はヒルドイドソフト軟膏25g分包品とアンテベート軟膏5g分包品を使用した場合は算定できず、ヒルドイドソフト軟膏100gや500g、アンテベート軟膏100gなどから計量して、混合した場合は算定することができます。

 
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9.自家製剤加算または計量混合調剤加算を算定できるケースとできないケース

自家製剤加算と計量混合調剤加算は算定できるケースとできないケースがあります。それぞれ見ていきましょう。

 

9-1.自家製剤加算と計量混合調剤加算の同時算定

自家製剤加算を算定した「調剤」に関しては、計量混合調剤加算を算定できない点にも注意が必要です。例えば、錠剤を半割や粉砕して計量し、他の散剤と混合して分包した場合は、いずれも算定条件を満たしていますが、服用時点と日数が同じため1調剤となり、どちらか一方のみしか算定できません。

 

<処方例9>
Rp1)
酸化マグネシウム 1g 寝る前 14日分
パントシン散20% 2g 寝る前 14日分
レンドルミン錠0.25mg 0.5錠 寝る前 14日分

 

レンドルミンは自家製剤加算、酸化マグネシウムとパントシン散は計量混合調剤加算の算定要件を満たしていますが、服用時点と日数が同じです。そのため、自家製剤加算と計量混合調剤加算を同時に算定することができません。このケースでは、どちらか一方を算定することになるため、一般的には点数の高い計量混合調剤加算を採用することが多いでしょう。

ただし、次のような処方の場合は算定ができます。

 

<処方例10>
Rp1)
オゼックス錠75mg 3錠 朝夕食後 5日分
Rp2)
ムコダインドライシロップ50% 1.2g
ミヤBM細粒 1.0g 朝夕食後 7日分

 

自家製剤加算と計量混合調剤加算は1調剤ごとに算定できます。Rp1)とRp2)は服用時点が同じですが、日数が異なるため、別調剤となりそれぞれを算定することが可能です。

 
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9-2.嚥下困難者用製剤加算と自家製剤加算・計量混合調剤加算は同時算定できない

嚥下困難な患者さんでも容易に服薬できるよう、さまざまな剤形の薬剤が流通しています。粉砕可能な薬剤であっても、剤形を変更することで対応できることが多く、粉砕してお渡しするケースは少ないかもしれません。ここではA錠、B錠という形で処方例を紹介します。

 

<処方例11>
A錠 1錠 朝食後 14日分
B錠 1錠 朝食後 14日分(すべて粉砕・混合)

 

嚥下困難者用製剤加算は、医師の了解を得たうえで、錠剤を砕くといった剤形加工を行ったあとに調剤することに対して評価するものです。1剤として扱われる薬剤については自家製剤加算の同時算定はできません。また、剤形加工を行ったものを他の薬剤と計量混合した場合についても、計量混合調剤加算との同時算定ができません。

 

9-3.外来服薬支援料2と自家製剤加算・計量混合調剤加算は同時算定できない

2022年度改定で一包化加算が外来服薬支援料2に名称変更となりました。外来服薬支援料2を算定した範囲の薬剤については、自家製剤加算と計量混合調剤加算は算定できません。

 

<処方例12>
ディオバン40㎎ 1錠 寝る前 14日分
リピトール10㎎ 1錠 寝る前 14日分
マイスリー5㎎ 0.5錠 寝る前 14日分

 

上記の処方について、すべてをまとめて一包化する場合は、1剤3種類となり外来服薬支援料2を算定します。マイスリー5㎎は外来服薬支援料2を算定した範囲の薬剤となるため、自家製剤加算は算定できません。

 
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10.混合、粉砕、半割など特殊な調剤はしっかりチェックしよう

自家製剤加算や計量混合調剤加算は日常業務でよく算定する加算です。忙しい業務のなかでは、すべてをチェックするのは難しく感じるかもしれませんが、薬局薬剤師としては調剤報酬の誤算定はできるだけ防ぎたいもの。まずは処方せんの混合、粉砕、半割など特殊な調剤指示がある場合に、調剤報酬算定のチェックを意識することから始めてみてはいかがでしょうか。


執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。

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