1.調剤報酬改定とは
診療報酬は、医師診療報酬、歯科診療報酬、調剤報酬の3つに分かれています。そのうち、調剤報酬は、調剤薬局が調剤を行った際に支払われる報酬を指します。調剤報酬改定は2年ごとに行われており、調剤報酬の項目や算定点数、算定要件などが見直されています。
1-1.調剤報酬改定は何のために行われるのか
調剤報酬が2年ごとに見直されるのはなぜでしょうか。日本の経済状況や感染症の流行、医療技術の進歩などによって、その都度、医療のニーズが変わります。そうした変化に対応するために、調剤報酬が改定されます。
例えば、2022年度の改定では、新型コロナウイルス感染症の流行によって、オンライン服薬指導やPCR検査事業などの項目が見直されました。また、日本の医療費は高齢化に伴い増加傾向にあるため、医療費を抑えるために、後発医薬品調剤体制加算の算定項目について変更されています。他にも、さまざまな項目について見直され、新設・変更が行われています。
加えて、調剤報酬は非課税のため、消費税が含まれていません。しかし、薬局が医薬品を購入する際は消費税を支払っています。そのため、消費税の増税による材料価格を考慮して調剤報酬が改定される場合もあります。
1-2.2022年(令和4年)調剤報酬改定の変更のポイント
2020年(令和2年)度の医療費については、新型コロナウイルス感染症の流行によって、医療機関の受診控えなどがあったこともあり、2019年(令和元年)よりも減少しました。しかし、調剤医療費の推移から日本の医療費は長期的には増加傾向にあります。2020年度の調剤医療費は約7.5兆円、薬剤料が約5.6兆円、技術料が約1.9兆円でした(厚生労働省「令和4年度調剤報酬改定の概要(調剤)」より)。
限られた財源を有効活用するために、2022年度調剤報酬改定では、以下の点について見直されています。
・薬局の収益状況、経営の効率性等も踏まえた多店舗を有する薬局等の評価の適正化
・OTC類似医薬品等の既収載の医薬品の保険給付範囲の見直しなど、薬剤給付の適正化の観点からの湿布薬の処方の適正化
参照:令和4年度調剤報酬改定の概要(調剤)|厚生労働省
薬局薬剤師が対物から対人中心の業務に集中できるよう、評価体系が見直されています。また、調剤基本料や地域支援体制加算、後発医薬品調剤体制加算など、薬局の機能や効率性に関しての評価も改定されました。
さらに、自宅で麻薬や中心静脈栄養を投与している患者さんに対して指導や管理をするといった業務についても評価が見直されています。ICTの活用も積極的に推進する改定となっており、情報通信機器を活用したオンライン服薬指導についての新設項目が設けられています。
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2.2022年(令和4年)調剤報酬改定の新設項目と点数
2022年(令和4年)度調剤報酬改定で新設された項目と点数について見ていきましょう。
■2022年度調剤報酬改定で新設された項目と点数
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3.2022年(令和4年)調剤報酬改定の変更項目と点数
2022年(令和4年)度調剤報酬改定で変更された項目と点数について見ていきましょう。
■2022年度調剤報酬改定で変更された項目と点数
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4.2022年(令和4年)調剤報酬改定による影響を理解しておこう
2022年(令和4年)度の調剤報酬改定では、後発医薬品の普及や在宅医療に参画といった地域に根づく活動を行っていた薬局は算定点数が上がる改定となっています。一方で、経営効率の高い大手調剤チェーンや門前薬局の評価も見直され、収入減となった薬局もあることでしょう。「患者のための薬局ビジョン」に沿った活動を行っているかどうかで、薬局ごとの算定点数に違いがあったのではないでしょうか。改定による影響を理解し、業務に生かしていきましょう。
執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)
薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。
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