薬剤師のスキルアップ 公開日:2021.08.26 薬剤師のスキルアップ

服薬情報等提供料とは?算定要件や算定できる事例・できない事例について解説 文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

2020年度の診療報酬改定で「服薬情報等提供料」が見直されました。地域支援体制加算を算定するための要件になっていることから、服薬情報等提供料の算定件数を増やすために試行錯誤している調剤薬局もあることでしょう。今回は、服薬情報等提供料について解説するとともに、算定できる事例・できない事例をご紹介します。

1. 服薬情報等提供料とは

服薬情報等提供料とは、薬剤師が医師や医療機関、患者さんもしくはその家族へ情報提供することで算定できる薬学管理料です。同じ情報提供に分類される疑義照会との違いは、緊急性の有無にあります。また、服薬情報等提供料は2種類あり、それぞれ要件が異なります。まずは、疑義照会との違いと、服薬情報等提供料1と2の違いについて詳しく見ていきましょう。

 

1-1. 疑義照会との違い

上述したように、服薬情報等提供料と疑義照会は、緊急性の有無が異なります。疑義照会は、処方せんについて「確認しなければ調剤が行えない」と判断される場合に実施されるのに対し、情報提供書は、「次回の処方時に役立つ情報」を提供することが目的です。
 
例えば、残薬がある患者さんのケースを情報提供すると、医師は次回処方時に残薬調整ができます。疑義照会であれば、当日のうちに残薬調整が可能ですが、問い合わせに時間がかかります。服薬情報を提供することで、患者さんの待ち時間短縮につながる点はメリットといえるでしょう。また、医師が患者さんのコンプライアンスをあらかじめ確認できるのも利点です。患者さんからの聞き取りと薬剤師からの情報提供によって、より綿密な処方計画を立てることが可能です。

 
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1-2. 服薬情報等提供料1と2の違い

服薬情報等提供は、薬剤師が医師や医療機関、または患者さんやその家族に対して医薬品情報や服薬情報を提供し、医療機関と調剤薬局が連携して患者さんの薬物治療をサポートすることを目的としています。服薬情報等提供料1と2の大きな違いは、医師の求めがあったか否かです。

服薬情報等提供料1は、処方医からの求めがあった場合に行うのに対し、服薬情報等提供料2は、薬剤師が服薬指導を通じて医師への情報提供が必要であると判断した場合や、患者さんや家族から求めがあった場合に行います。

 

算定要件を満たすと、服薬情報等提供料1は30点、服薬情報等提供料2は20点が、それぞれ月1回を限度に算定できます。

 

2. 服薬情報等提供料1・2の算定要件

医療機関への情報提供においては、服薬情報等提供料1、2ともに以下の2点について情報提供した場合に算定できるという共通事項があります。

 

・患者さんの服用薬と服薬状況
・患者さんに行った服薬指導の要点、患者さんの状態など

 

患者さん1人につき同一月に2回以上の情報提供を行った場合でも、月1回のみの算定になります。ただし、複数の医療機関または診療科に対して情報提供を行った場合は、医療機関または診療科ごとに月1回まで算定できます。

 

次にそれぞれの詳しい算定要件を見ていきましょう。

 

2-1. 服薬情報等提供料1の算定条件

服薬情報等提供料1は、医師からの求めに応じて残薬や入院前の服用薬について確認後、情報提供した場合と、分割調剤を行った場合に算定できます。分割調剤による算定では、2回目以降、残薬の有無を確認し、残薬がある場合は量とその理由についての情報提供が必要です。副作用が生じているケースでは、その原因の可能性がある薬剤を推定した内容も合わせて報告しなければなりません。ただし、副作用によっては早急な対応が必要なこともあるので、状況に応じて臨機応変に行う必要があるでしょう。

 

2-2. 服薬情報等提供料2の算定条件

服薬情報等提供料2は薬剤師の判断、または患者さんや家族の希望があった場合に算定できます。

薬剤師の判断による場合、残薬などを提示するとともに、コンプライアンス向上に向けた対策や残薬調整などを提案することで算定できます。

患者さんや家族の希望があった場合は、服薬指導以降に服用中の医薬品に関する緊急安全性情報などの新しい情報を得た時はその情報提供を行い、次回来局時に服用状況の確認・指導を行うことで算定できます。厚生労働省が提示している「調剤報酬点数表に関する事項」では、患者さんや家族の希望で服薬情報等提供料を算定した場合、医師への情報提供や患者さんへの文書による情報提供が要件に含まれていません。服薬情報等提供料2のなかでも、薬剤師の判断か、患者さんや家族の要望かによって算定要件が異なります。

 

3. 服薬情報等提供料を算定する前に行うこと

情報提供書は、個人情報を扱うため患者さんの同意が必要です。また、医師や医療機関へ患者さんの情報を提供することに理解を得る必要もあるでしょう。トラブルなく情報提供するためには事前準備が大切です。服薬情報等提供料を算定する前の事前準備について見ていきましょう。

 

3-1. 医師・医療機関の理解を得る

情報提供を始める前に、まずは近隣の医療機関や医師の理解を得ることが大切です。ある程度の信頼関係ができている医療機関であれば、事前に薬局で得た情報を共有したい旨を伝えるとよいでしょう。総合病院などの大きな病院では、調剤薬局からの情報提供を薬剤部が取りまとめているケースもあります。まずは薬剤部に連絡し、患者さんの状況を伝えたうえで、文書による情報提供の許可をもらうとスムーズです。

 

3-2. 患者さんの同意を得る

情報提供等提供料の算定要件に、患者さんの同意が含まれています。調剤薬局によっては、薬局内の掲示により個人情報の取扱いについて同意を得ていると判断するケースがあるかもしれません(医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンスについて[通知]Ⅲ.医療・介護関係事業者の義務等 5.個人データの第三者提供[法第23条]より)。

しかし、患者さんが医療機関を受診した時に、薬剤師にしか話していない情報が医師にまで伝わってしまうとわかれば、患者さんとの信頼関係が崩れる可能性があります。情報提供の必要性があると判断した場合であっても、患者さんへ理由を説明し、必ず同意を得なければなりません

 
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4. 情報提供書(トレーシングレポート)の書き方

情報提供書(トレーシングレポート)の内容に不足があると、算定が認められない可能性があります。ここでは情報提供書の書き方についてお伝えします。

 

4-1. 厚生労働省が提示する「服薬情報等提供料に係る情報提供書」を参考に

厚生労働省が提示する「服薬情報等提供料に係る情報提供書」には以下のような項目が記載されています。

 

・患者情報
・服薬状況や指導内容
・市販薬などを含む併用薬剤の有無
・アレルギー、副作用と思われる症状など患者さんの訴え
・症状などに関する家族や介護者からの情報
・薬剤師からみた情報提供の必要性
・薬剤の保管状況など上記以外に医師に伝えたい情報

 

また、聖路加国際病院京都第一赤十字病院など、独自に情報提供書のフォーマットを指定している施設もあります。情報提供書を作成する際には、事前に医療機関のホームページを確認しましょう。指定のフォーマットがない場合は、厚生労働省が作成した情報提供書を利用するとよいでしょう。

 

4-2. 薬剤師として患者さんの治療に役立つと判断できる情報を記載

服薬指導を行っていると、「先生には言ってない」「薬が余っている」「実は飲んでいない」「困っている」といった情報を得ることがあります。患者さんから聞き取った医師が知らない情報のなかで、治療に役立つと判断できるものは、積極的に報告していきましょう。加えて、患者さんの医師には伝えにくい困りごとを報告するのも大切です。

例えば、医療費を抑えるために受診を控えているという情報を得た場合、患者さんの生活状況や後発医薬品への切り替えで自己負担を抑えられることを伝えます。医師が処方薬を見直すきっかけになるかもしれません。

緊急性は低いものの、治療において重要な情報を得た場合は、積極的に情報提供することで、患者さんのコンプライアンス向上が期待できます。

 
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5. 服薬情報等提供料が算定できる事例

服薬情報等提供料が算定できるのは以下の場合です(厚生労働省「調剤報酬点数表に関する事項」より)。

 

・残薬の確認時に情報提供の必要性を感じた場合
・分割調剤を行った場合
・経管投薬支援料を算定した場合
・外来服薬支援料を算定した場合
・服用薬剤調整支援料1を算定した場合

 

薬剤服用歴管理指導料を算定する際に加算できる以下の薬学管理料についても、服薬情報等提供料と同時算定が可能です。

 

・麻薬管理指導加算
・重複投薬・相互作用等防止加算
・特定薬剤管理指導加算1
・乳幼児服用指導加算

 

文書で医師に情報提供することで服薬情報等提供料を算定できます。

 
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6. 服薬情報等提供料が算定できない事例

服薬情報等提供料は、以下の薬学管理料を算定している「患者」に対して算定できません(厚生労働省「調剤報酬点数表に関する事項」より)。

 

・かかりつけ薬剤師指導料(76点)
・かかりつけ薬剤師包括管理料(291点)
・在宅患者訪問薬剤管理指導料(290点~)

 

かかりつけ薬剤師指導料とかかりつけ薬剤師包括管理料は、処方せん受付ごとに残薬の確認などを行い、状況によって処方医に対して情報提供に努めることと定められています。そのため、同等の業務を行う服薬情報等提供料は算定できません。また、在宅患者訪問薬剤管理指導料は月4回(末期の悪性腫瘍の患者等の場合は週2回かつ月8回)まで算定でき、同様に医師への報告義務があるため、服薬情報等提供料の同時算定はできません。

加えて、以下の薬学管理料を算定している「医療機関」に対して、同一月内での算定は認められていますが、同日では算定不可です。

 

・吸入薬指導加算(30点)
・服用薬剤調整支援料2(100点)
・調剤後薬剤管理指導加算(30点)
・特定薬剤管理指導加算2(100点)

 

いずれの薬学管理料も医師へ文書による情報提供を行うことが要件に含まれているため、同日での服薬情報等提供料は算定できません。

 

7. 服薬情報等提供料は薬剤師として気になった情報を医師に伝えるツール

今までは、服薬指導で気になった情報を得たとしても、緊急性の低さから医師に直接伝えることなく、次回受診時に患者さんから医師に伝えるよう促すにとどめていた薬剤師もいるかもしれません。服薬情報等提供料は、治療効果の向上が期待できる情報を医師に提供するためのツールです。調剤薬局の薬剤師も医療機関や医師へ積極的にコンタクトをとり、医療に貢献していきましょう。


執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。

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