調剤基本料は、2026年度調剤報酬改定で点数・算定要件や施設基準、加算・減算などが見直され、薬局に求められる機能や役割がより明確化されました。本記事では、2026年度改定における調剤基本料の主要な変更点を解説するとともに、調剤基本料1・2・3、特別調剤基本料A・Bの点数や算定要件、関連する加算・減算などについてお伝えします。

- 1.調剤基本料とは?
- 2.調剤基本料の2026年度改定における主な変更点
- 2-1.調剤基本料1・2・3の点数
- 2-2.調剤基本料1・2・3の施設基準
- 2-3.処方箋集中率の算出方法
- 2-4.門前薬局等立地依存減算
- 3.調剤基本料の点数
- 4.調剤基本料の主な算定要件
- 4-1.調剤基本料1
- 4-2.調剤基本料2
- 4-3.調剤基本料3
- 4-4.特別調剤基本料A・B
- 5.調剤基本料の加算・減算
- 5-1.妥結率減算
- 5-2.かかりつけ機能に関する減算
- 6.調剤基本料に関するQ&A
- 6-1.調剤基本料が安いのはどんな薬局?
- 6-2.分割調剤を行う場合の調剤基本料の点数は何点?
- 6-3.調剤基本料の区分を変更する場合はどうする?
- 6-4.施設基準にある「都市部」とは?
- 7.改定内容を理解した上で地域の人に優しい薬局作りを目指そう
1.調剤基本料とは?
調剤基本料とは、薬局の体制・設備や処方箋の受付回数・集中率などを評価したものです。
調剤基本料1・2・3(イ・ロ・ハ)と特別調剤基本料A・Bの区分があり、薬局の体制・設備を評価する加算や減算が設けられています。
2.調剤基本料の2026年度改定における主な変更点
2026年度調剤報酬改定では、調剤基本料の点数や施設基準だけでなく、処方箋集中率の算出方法が変更されたほか、減算項目が新設されました。ここでは、2026年度改定の主な変更点をお伝えします。
2-1.調剤基本料1・2・3の点数
2026年度改定では、面分業の推進や、2024年度改定以降の経営環境の悪化を踏まえた緊急対応として、調剤基本料1・2・3の点数が引き上げられました。
| 区分 | 改定前 | 改定後 |
|---|---|---|
| 調剤基本料1 | 45点 | 47点 |
| 調剤基本料2 | 29点 | 30点 |
| 調剤基本料3のイ | 24点 | 25点 |
| 調剤基本料3のロ | 19点 | 20点 |
| 調剤基本料3のハ | 35点 | 37点 |
2-2.調剤基本料1・2・3の施設基準
調剤基本料1・2・3の施設基準は、以下のように見直されました。
| 区分 | 変更点 |
|---|---|
| 調剤基本料1 | 地方自治体の所有する土地に所在する診療所の敷地内にある薬局について、医療機関がへき地の医療の提供のために必要な診療所として都道府県知事に認められたもので、水平距離4キロメートル以内に他薬局がない場合は、調剤基本料1を算定 |
| 調剤基本料2 | 処方箋受付回数・集中率などの基準を、以下のように見直し ① 都市部において、処方箋受付回数が600回超1,800回以下かつ処方箋集中率が85%超 ② 処方箋受付回数が1,800回超かつ処方箋集中率が85%超 ③ 処方箋受付枚数が4,000回超かつ上位3の医療機関の処方箋集中率の合計70%超 ④ 特定の医療機関からの処方箋受付枚数が4,000回超 |
| 調剤基本料3 イ | 同一グループの処方箋受付回数の基準を「月3万5,000回超~40万回かつ処方箋集中率85%超」に見直し |
| 調剤基本料3 ロ・ハ | 「同一グループの薬局店舗数が300以上であること」を削除 |
2-3.処方箋集中率の算出方法
医療モール型薬局や、介護施設などの処方箋を扱う薬局は、以下のように処方箋集中率を算出することになります。
● 介護施設や老人ホームに入居する患者さんの処方箋は、処方箋集中率の計算から除外
2-4.門前薬局等立地依存減算
新規開設する薬局について、病院の近隣など、すでに多数の薬局が開局している地域、または医療モール内に立地する場合は、門前薬局等立地依存減算(▲15点)を算定することとなりました。
参考:令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】|厚生労働省
3.調剤基本料の点数
調剤基本料の点数は以下のとおりです。
| 区分 | 点数 |
|---|---|
| 調剤基本料1 | 47点 |
| 調剤基本料2 | 30点 |
| 調剤基本料3のイ | 25点 |
| 調剤基本料3のロ | 20点 |
| 調剤基本料3のハ | 37点 |
| 特別調剤基本料A | 5点 |
| 特別調剤基本料B | 3点 |
複数の医療機関が交付した処方箋を同時にまとめて受け付けた場合、受付回数はそれぞれ数えますが、1回目は調剤基本料の所定点数を算定し、2回目以降は所定点数の100分の80を算定します。
参考:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省
4.調剤基本料の主な算定要件
続いて、調剤基本料の主な算定要件についてお伝えします。
4-1.調剤基本料1
調剤基本料1は、調剤基本料に係る届出を行っているかつ、調剤基本料2・3と特別調剤基本料Aのいずれにも該当しない薬局が対象です。
4-1-1.例外的に調剤基本料1が認められるケース
調剤基本料2・3や特別調剤基本料Aの要件に当てはまる薬局の中には、例外的に調剤基本料1が対象となる薬局もあります。以下のいずれかに該当する薬局は、調剤基本料1を算定できます。
| 例外1 | 2026年5月31日において、処方箋受付回数が1,800枚以下/月と届け出ており、その後も継続的に1,800枚以下/月である薬局が、以下に該当する場合 ● 都市部に所在 ● 敷地境界線から水平距離で500メートル以内の区域に、他薬局の敷地境界線がある ● 処方箋集中率85%超 ● 処方箋受付回数600回以上/月 |
|---|---|
| 例外2 | ● 基本診療料施設基準通知の別添3の別紙2の「医療を提供しているが、医療資源の少ない地域」に所在し、調剤基本料の施設基準に係る届出を行っていること ● 処方箋受付回数が月2,500回を超えないこと ● 薬局が所在する特定の区域内(原則として市町村の教育委員会が設定した中学校区)における医療機関について、許可病床数が200床未満で、その数が10以下であること ※ 医療機関の数には、歯科医療のみの医療機関は含めず、医科歯科併設の医療機関は含める ※ 中学校区外の医療機関の処方箋集中率が70%を超える場合は、その医療機関は特定の区域内にあるものとみなす |
| 例外3 | ● 薬局が地方公共団体の所有する土地に所在する診療所または地方公共団体の開設する診療所と同一の敷地または建物にあること ● 上記の医療機関が、へき地の医療の提供のために必要な診療所として、各都道府県が策定する医療計画(医療法第30条の4第1項に規定するもの)において示され、都道府県知事に認められたものであること ● 薬局から水平距離4キロメートル以内に、他の薬局がないこと |
参考:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省
4-2.調剤基本料2
調剤基本料2の主な施設基準は、以下のとおりです。
(2) 処方箋受付回数が月1,800回超かつ処方箋集中率85%超
(3) 処方箋受付回数が月4,000回超かつ上位3の医療機関の処方箋集中率の合計70%超
(4) 特定の医療機関からの処方箋受付回数が月4,000回超
上記の(1)については、当面の間、2026年5月31日までに新設した薬局には適用しないとされています。(4)については、以下のようなケースでは処方箋枚数を合算することとされています。
● 同一グループ内の複数の薬局において、処方箋集中率が最も高い医療機関が同じ場合は、他薬局の処方箋受付回数を自薬局に含める
薬局の立地にかかわらず、医療モール内の医療機関は一つの医療機関とみなされることになりました。
参考:疑義解釈資料の送付について(その2)令和8年4月1日 |厚生労働省
4-3.調剤基本料3
調剤基本料3の主な施設基準は、特別調剤基本料Aに該当する場合を除く以下の要件を満たすことです。
| 区分 | 要件 |
|---|---|
| イ | 同一グループで処方箋受付回数が月3万5,000回超~40万回であって以下のいずれかに該当する薬局 ● 処方箋集中率85%超 ● 特定の医療機関と特別な関係を有する |
| ロ | 同一グループで処方箋受付回数が月40万回超であって以下のいずれかに該当する薬局 ● 処方箋集中率85%超 ● 特定の医療機関と特別な関係を有する |
| ハ | 同一グループで処方箋受付回数が月40万回超かつ処方箋集中率85%以下 |
参考:令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】|厚生労働省
参考:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省
4-4.特別調剤基本料A・B
特別調剤基本料は、以下の薬局を対象としています。
| 区分 | 要件 |
|---|---|
| A | 以下のいずれかの要件を満たすこと ● 特定の医療機関と特別な関係を有し、処方箋集中率が50%超 ● 同一敷地内にオンライン診療受診施設を設置 |
| B | 施設基準の届出を行っていない薬局 |
ただし、特定の医療機関と特別な関係を有する薬局については、2026年3月4日以前から薬局がある建物内に診療所が所在し続けており、2026年3月5日以降も新たな医療機関と特別な関係を有しない場合は特別調剤基本料Aに該当しません。
また、敷地内にオンライン診療受診施設を設置しているケースにおいても、へき地にある薬局については特別調剤基本料Aに該当しないこととされています。
参考:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省
特別調剤基本料A・Bを算定する薬局は、加算や使用薬剤料の算定に制限が設けられています。詳細は厚生労働省「調剤報酬点数表に関する事項」などを確認しましょう。
5.調剤基本料の加算・減算
調剤基本料の主な加算・減算は以下のとおりです。
| 区分 | 点数 |
|---|---|
| 地域支援・医薬品供給対応体制加算1 | 27点 |
| 地域支援・医薬品供給対応体制加算2 | 59点 |
| 地域支援・医薬品供給対応体制加算3 | 67点 |
| 地域支援・医薬品供給対応体制加算4 | 37点 |
| 地域支援・医薬品供給対応体制加算5 | 59点 |
| 連携強化加算 | 5点 |
| バイオ後続品調剤体制加算 | 50点 |
| 後発医薬品減算 | ▲5点 |
| 在宅薬学総合体制加算1 | 30点 |
| 在宅薬学総合体制加算2のイ | 100点 |
| 在宅薬学総合体制加算2のロ | 50点 |
| 電子的調剤情報連携体制整備加算 | 8点 |
| 門前薬局等立地依存減算 | ▲15点 |
5-1.妥結率減算
以下のいずれかに該当する薬局は、調剤基本料を100分の50に減算します。
● 薬局における医療用医薬品の取引価格の妥結率、医療用医薬品の取引に係る状況および流通改善に関する取り組み状況について、地方厚生(支)局長に報告していない薬局であること
参考:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省
5-2.かかりつけ機能に関する減算
処方箋の受付回数が月600回以下の薬局である場合を除き、薬剤師のかかりつけ機能に係る基本的な業務を1年間実施していない薬局は、調剤基本料を100分の50に減算します。
上記のかかりつけ機能にかかる基本的な業務とは、以下の算定に関する業務を指します。
● 調剤時残薬調整加算、薬学的有害事象等防止加算
● 服薬管理指導料の1のイまたは2のイ
● 麻薬管理指導加算
● 外来服薬支援料1
● 服用薬剤調整支援料
● 在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料、居宅療養管理指導費、介護予防居宅療養管理指導費
● 退院時共同指導料
● 服薬情報等提供料
● 訪問薬剤管理医師同時指導料
上記について、1年間の業務算定が合計10回未満、特別調剤基本料A・Bを算定する薬局は合計100回未満の場合、減算に該当します。
参考:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省
6.調剤基本料に関するQ&A
続いて、調剤基本料に関するQ&Aを紹介します。
6-1.調剤基本料が安いのはどんな薬局?
基本的に処方箋集中率が高い薬局や大手のグループ薬局の調剤基本料は低めに設定されています。しかし、店舗数の多いグループ薬局であっても、処方箋集中率が85%以下の店舗は調剤基本料がやや高めに設定されており、面分業に力を入れる薬局は評価されています。
また、医療資源の少ない地域の薬局は処方箋集中率にかかわらず調剤基本料1が算定できるといった例外要件を設けていることから、立地に依存せず地域医療に貢献する薬局が評価されており、調剤基本料も高くなる傾向にあるといえます。
6-2.分割調剤を行う場合の調剤基本料の点数は何点?
分割調剤を行うケースには、以下の3つがあり、それぞれ算定方法が異なります。
● ジェネリック医薬品の試用が目的の場合
● 医師の指示による場合
「長期保存が困難な薬剤」と「ジェネリック医薬品の試用」の初回の調剤基本料は、通常通り算定しますが、医師の指示による場合は通常の算定点数を分割回数で除した点数を算定します。2回目以降は、調剤する薬局によって算定点数が異なるため、詳しい要件を把握しておくことが大切です。
6-3.調剤基本料の区分を変更する場合はどうする?
調剤基本料の区分を変更する場合、「調剤基本料の施設基準にかかる届出書添付書類(様式84)」の「調剤基本料の区分変更に伴う届出」にチェックを入れて届け出ます。
6-4.施設基準にある「都市部」とは?
2026年度診療報酬改定で調剤基本料の施設基準に新たに設けられた「都市部」とは、以下の地域を指しています。
● 宮城県仙台市
● 埼玉県さいたま市
● 千葉県千葉市
● 東京都23区
● 神奈川県横浜市、川崎市および相模原市
● 新潟県新潟市
● 静岡県静岡市および浜松市
● 愛知県名古屋市
● 京都府京都市
● 大阪府大阪市および堺市
● 兵庫県神戸市
● 岡山県岡山市
● 広島県広島市
● 福岡県北九州市および福岡市
● 熊本県熊本市
7.改定内容を理解した上で地域の人に優しい薬局作りを目指そう
2026年度調剤報酬改定は、2015年に策定された「患者のための薬局ビジョン」の進捗状況を踏まえたものとなりました。薬局ビジョンが策定されてから10年が経ちましたが、立地に依存した門前型薬局や医療モール型薬局の設立が続出しており、処方箋集中率の高い薬局は増加傾向にあります。そのため2026年度は、より地域に根差した面分業を推進するための改定となりました。
薬局や薬剤師は、改定内容を十分に理解した上で自薬局の立ち位置を再確認し、地域の健康を支える医療提供施設としての役目を果たしていきましょう。

薬剤師ライター。病院・薬局で幅広い診療科を経験。現在は2児の子育てをしながら、Webライターとして活動中。専門的な資料や情報をわかりやすくかみ砕き、現場のリアルに寄り添う言葉で伝えることを大切にしている。同じ薬剤師として、日々の悩みやモヤモヤに共感しながら、少しでも役立つヒントや気づきを届けられるように試行錯誤中。
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