薬剤師のスキルアップ 更新日:2025.04.18公開日:2025.04.10 薬剤師のスキルアップ

夜間・休日等加算とは?薬局における算定要件や時間外等加算との違いについて解説

文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

夜間・休日等加算を調剤薬局で算定する場面では、算定の可否に迷ったり、時間外等加算とどちらを算定すればよいのか判断が難しかったりすることがあるかもしれません。本記事では、調剤薬局が算定する夜間・休日等加算の算定要件や点数を解説するとともに、算定時の注意点、時間外等加算との違いなどについてお伝えします。加えて、調剤薬局における夜間・休日対応の現状と今後についても見ていきましょう。

1.夜間・休日等加算とは?

夜間・休日等加算とは、調剤報酬における薬剤調製料の加算です。薬局が表示する開局時間内のうち、特定の日時に調剤を行った場合に算定できます。

 
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2.夜間・休日等加算の算定要件・点数

夜間・休日等加算の算定要件と点数は、以下のとおりです。

 

点数 40点
算定頻度 処方箋受付1回につき算定
時間帯 薬局が表示する開局時間のうちの以下の時間帯
● 休日加算の対象となる休日の終日
● 休日加算の対象となる休日を除く以下の時間帯
  平日:19時~翌8時
  土曜日:13時~翌8時
薬局内の掲示 夜間・休日等加算を算定する薬局は、薬局の分かりやすい場所に以下について掲示すること
● 薬局の内外に開局時間を掲示
● 夜間・休日等加算の対象となる日時を掲示
薬剤服用歴等の記載 平日または土曜日に夜間・休日等加算を算定する場合、処方箋の受付時間を記載

 

時間外等加算の要件を満たす場合は、夜間・休日等加算の算定要件が満たされる場合であっても、時間外等加算を算定します。

 

参照:調剤報酬点数表|厚生労働省
参照:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省

3.夜間・休日等加算の算定における注意点

続いて、夜間・休日等加算の算定における注意点を見ていきましょう。

 

3-1.臨時的に開局時間を延長した場合

薬局では、門前のクリニックが混んでいる場合などで、開局時間を過ぎて患者さんが来局することもあるでしょう。そういった場合には、夜間・休日等加算が算定できます。
 
例えば、平日の閉局時間が19時の薬局が、19時以降も臨時的に開局して処方箋を受け付けた場合は、夜間・休日等加算が算定可能です。

 

3-2.土曜日の閉局後、13時~18時に処方箋を受け付けた場合

土曜日の閉局後、13時~18時に処方箋を受け付けた場合、時間外加算に該当する時間帯ではないため、特例的に夜間・休日等加算の算定が認められています。例えば、土曜の閉局時間を15時としている場合、15時~18時に受け付けた処方箋は、夜間・休日等加算の算定対象となります。
 
ただし、算定する場合には、薬局内外への開局時間の掲示や、夜間・休日等加算を算定する日時の掲示を行い、薬剤服用歴等へ処方箋受付時間を記載しなければなりません。
 
参照:疑義解釈資料の送付について(その1)2008年3月28日|厚生労働省

 

3-3.休日当番ではない休日に臨時開局をした場合

休日当番でない休日に臨時開局した場合は、休日加算ではなく、夜間・休日等加算を算定します。休日加算は、開局時間外の調剤応需態勢を評価したものです。救急医療対策や輪番制による休日当番の薬局が算定できる加算のため、休日当番でない休日に臨時開局した場合は休日加算を算定できません。
 
例えば、近隣の医療機関が休日当番となることを理由に、自薬局は休日当番ではないものの臨時開局をする場合、開局時間とみなされるため夜間・休日等加算を算定します。

 

3-4.12月29日~1月3日に開局した場合

調剤報酬点数表では、12月29~31日と1月2、3日は休日として取り扱うこととされています。そのため、以下のケースでは休日加算を算定します。

 

● 上記期間に休日当番となった場合
● 開局日ではないが急病などでやむを得ず処方箋を応需した場合

 

ただし、上記のケースに該当しない場合は、夜間・休日等加算を算定します。

 

3-5.分割調剤の2回目以降に調剤を行った場合

夜間・休日等加算は、処方箋受付1回につき算定できる加算です。そのため、1回目の分割調剤を行った薬局が、夜間・休日等加算の算定に該当する時間帯に、分割調剤の2回目以降の調剤を行った場合、処方箋受付回数に含められないため、夜間・休日等加算は算定できません。

 

3-6.閉局後に患者さんの調剤の求めがあった場合

閉局後に患者さんから調剤の求めがあった場合、夜間・休日等加算ではなく、時間外加算を算定します。例えば、閉局時間が19時の薬局において、閉局後の21時に患者さんからの求めで調剤を行った場合には、患者さんへ時間外加算が算定可能です。
 
また、上記のケースにおいて、患者さんの対応をしている間に別の患者さんから調剤を求められた場合には、2人目の患者さんについても時間外加算が算定できます。

 

3-7.夜間・休日等加算を算定した場合のレセプトへの記載

夜間・休日等加算を算定した場合については、処方箋を受け付けた日時をレセプトへ記載する必要はありません。レセプトへの記載が必要なのは、時間外加算、休日加算、深夜加算、時間外加算の特例を算定した場合です。
 
夜間・休日等加算の算定では、処方箋の受付日時について薬剤服用歴等への記載が必要ですが、レセプトへの記載が求められていません。

 
参考:保険調剤Q&A 令和6年版 Q89~92、資料(編集:日本薬剤師会)|じほう

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4.夜間・休日等加算と時間外等加算の違い

時間外等加算とは、時間外加算、休日加算、深夜加算を合わせた略称です。それぞれ算定できる要件や点数が異なります。時間外等加算と夜間・休日等加算の主な違いについて見ていきましょう。

 

加算 点数 時間帯 開局時間
夜間・休日等加算 40点 ● 休日加算の対象となる休日の終日
● 休日加算の対象となる休日を除く以下の時間帯
  平日:19時~翌8時
  土曜日:13時~翌8時
時間外等加算 時間外加算 基礎額の100% ● 6時~8時
● 18時~22時
休日加算 基礎額の140% ● 日曜日
● 国民の祝日
● 1月2~3日
● 12月29~31日
深夜加算 基礎額の200% 22時~翌6時

 

また、一般の薬局が開局している時間以外の時間帯(深夜時間を除く)に、救急医療の確保のために国や地方公共団体等によって開設されている薬局は、時間外加算の特例が適用されます。
 
参照:調剤報酬点数表|厚生労働省
参照:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省

 
🔽 時間外等加算について解説した記事はこちら

5.調剤薬局における夜間・休日対応の現状と今後

夜間・休日の対応については、外来・在宅医療によって現状は異なります。ここでは、調剤薬局における夜間・休日対応の現状についてお伝えします。

 

5-1.調剤薬局における夜間・休日対応の現状

医療資源が充実している地域においては、外来患者さんへの夜間・休日対応を実施している薬局が数多くあります。
 
しかし、地域薬剤師会が中心となって夜間・休日対応の体制整備が進められているため、地域薬剤師会の会員が対応しているのが現状です。地域の医療資源を有効活用するためには、非会員も含めた体制整備が必要とされています。
 
在宅医療の夜間・休日対応については、在宅医療を担う薬局がどうしても対応できないケースにおける体制整備が課題です。例えば、薬局に在庫していない薬剤の処方があった場合が挙げられます。近隣の連携している薬局にも在庫していないと、用意することが難しい場合もあるでしょう。地域の薬局が対応できない場合に協力を仰ぐのは在宅専門薬局や大手調剤薬局であり、こういった対応ができるのは医療資源が充実している地域に限られます。
 
医師による予測指示や事前処方には限界があり、時間外の処方をゼロにすることはできないのが現状であることからも、在宅専門薬局や大手調剤薬局が対応できない事例についての体制整備が求められています。
 
参照:薬局による夜間・休日対応(外来・在宅)|厚生労働省
参照:在宅医療における薬剤提供の現状と課題|厚生労働省

 

5-2.調剤薬局における夜間・休日対応の今後

個々の調剤薬局で夜間・休日対応を行うには限界があり、連携体制を整える必要があります。そのため、輪番体制へ参加する薬局や在宅薬局などだけでなく、医療機関や訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所など地域全体で連携することが求められるでしょう。
 
また、夜間・休日対応の体制構築のためには、地域薬剤師会の非会員との連携も重要なポイントです。今後は、行政機関から連携するエリアや単位が示され、地域薬剤師会の非会員を含めた体制整備が進められるでしょう。
 
厚生労働省の検討会では、夜間対応ができない場合には地域薬剤師会や地域医師会などに連絡して対応するといった意見もあり、今後はこれまで以上に幅広い連携体制となることが予測されます。薬局薬剤師は、日常業務や勉強会などを通じて多職種と交流し、積極的に関係を構築することが求められるでしょう。
 
参照:これまでの議論のまとめ(地域における薬局・薬剤師のあり方)|厚生労働省
参照:薬局による夜間・休日対応(外来・在宅)|厚生労働省

6.夜間・休日等加算の算定要件を理解しよう

夜間・休日等加算は、処方箋の受付時間が「開局時間内であるか」「開局時間の延長であるか」「救急医療対策等を目的としているか」などが、算定の可否を判断するときのポイントです。夜間・休日等加算と時間外等加算の違いを理解して、算定ミスを防ぎましょう。

 
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執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。