- 1.調剤技術料とは?
- 1-1.調剤基本料とは?
- 1-2.薬剤調製料とは?
- 2.調剤基本料と加算の算定要件・点数一覧
- 2-1.調剤基本料1・2・3
- 2-2.特別調剤基本料A・B
- 2-3.分割調剤
- 2-4.地域支援体制加算1・2・3・4
- 2-5.連携強化加算
- 2-6.後発医薬品調剤体制加算1・2・3と減算
- 2-7.在宅薬学総合体制加算1・2
- 2-8.医療DX推進体制整備加算
- 3.薬剤調製料と加算の算定要件・点数一覧
- 3-1.薬剤調製料
- 3-2.無菌製剤処理加算
- 3-3.麻薬等加算(麻薬、向精神薬、覚醒剤原料または毒薬加算)
- 3-4.自家製剤加算
- 3-5.時間外加算等
- 3-6.夜間・休日等加算
- 3-7.計量混合調剤加算
- 4.調剤技術料は平均いくら?
- 5.調剤技術料で評価する項目を理解しよう
1.調剤技術料とは?
調剤技術料とは、薬局の機能と薬局薬剤師の対物業務を評価する調剤報酬です。大きく調剤基本料と薬剤調製料の2つに分かれています。
まずは、調剤技術料の調剤基本料と薬剤調製料の概要について見ていきましょう。
1-1.調剤基本料とは?
調剤基本料は調剤技術料に分類されるため、対物業務を評価する薬剤調製料に近い位置づけと考えられるかもしれません。
しかし、調剤基本料が設けられたのは、対物業務を評価するためではなく、「医薬分業を推進するためには、薬局の調剤体制をきちんと整備する必要がある」という認識のもと、薬局の体制整備を評価するために設けられました。
薬局の設備や機能を整えるためには、ある程度のコストをかける必要があるでしょう。そのため、調剤基本料は調剤に関わる薬局の体制整備、つまり施設にかかるコストを評価した項目ともいえます。
参照:『保険薬局Q&A 令和4年版』Q55(じほう、2022年)
1-2.薬剤調製料とは?
薬剤調製料は、薬剤の調製や監査業務といった対物業務を評価する項目です。2022年度以前は調剤料として評価されていましたが、調剤料には処方内容の薬学的分析や調剤設計といった対人業務が含まれていました。
そのため、2022年度改定で薬剤調製料へ名称変更するとともに、対物業務のみを評価する項目となっています。
参照:『保険調剤Q&A 令和4年版』Q33(じほう、2022年)
2024年度の調剤報酬改定について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
2.調剤基本料と加算の算定要件・点数一覧
調剤基本料と加算には以下の項目があります。
調剤基本料 | 調剤基本料1・2・3 |
特別調剤基本料A・B | |
分割調剤(長期保存の困難性等、後発医薬品の試用) | |
加算 | 地域支援体制加算1・2・3・4 |
連携強化加算 | |
後発医薬品調剤体制加算1・2・3 | |
(後発医薬品減算) | |
在宅薬学総合体制加算1・2 | |
医療DX推進体制整備加算 |
それぞれの算定要件や点数について見ていきましょう。
2-1.調剤基本料1・2・3
調剤基本料1、2、3の算定要件と点数は以下のとおりです。
区分 | 算定要件 | 点数 |
---|---|---|
調剤基本料1 | ● 調剤基本料2・3、特別調剤基本料A・B以外の薬局 ● 医療資源の少ない地域に所在する薬局 |
45点 |
調剤基本料2 | 処方箋受け付け回数および集中率が、以下のいずれかに該当する薬局 ● 月4,000回超&上位3医療機関の集中率合計70%超 ● 月2,000回超&集中率85%超 ● 月1,800回超&集中率95%超 ● 特定の医療機関に係る処方箋が月4,000回超 |
29点 |
調剤基本料3 | 同一グループの保険薬局の処方箋受け付け回数(または店舗数)の合計および当該薬局の集中率が、次のいずれかに該当する薬局 | |
● 月3.5万回超~4万回以下&集中率95%超 ● 月4万回超~40万回以下&集中率85%超 ● 月3.5万回超&特定の医療機関と不動産の賃貸借取引 |
24点 | |
● 月40万回超(または300店舗以上)&集中率85%超 ● 月40万回超(または300店舗以上)&特定の医療機関と不動産の賃貸借取引 |
19点 | |
月40万回超(または300店舗以上)&集中率85%以下 | 35点 |
調剤基本料について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
2-2.特別調剤基本料A・B
特別調剤基本料A、Bの算定要件と点数は以下のとおりです。
区分 | 算定要件 | 点数 |
---|---|---|
特別調剤基本料A | 医療機関と同一敷地内・集中率50%超の薬局 以下については減点もしくは算定不可 |
5点 |
● 薬学管理料の一部(地域支援体制加算、後発医薬品調剤体制加算など) | ▲90% | |
● 薬学管理料の一部(調剤後薬剤管理指導料、特定薬剤管理指導加算2など) ※同一敷地内の医療機関への情報提供など要件に該当する場合 |
算定不可 | |
● 1処方につき7種類以上の内服薬の薬剤料 | ▲10% | |
特別調剤基本料B | 調剤基本料に係る届出を行っていない薬局 以下については減点もしくは算定不可 |
3点 |
● 調剤基本料の各種加算、薬学管理料に属する項目 | 算定不可 | |
● 1処方につき7種類以上の内服薬の薬剤料 | ▲10% |
特別調剤基本料について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
2-3.分割調剤
分割調剤の算定要件と点数は以下のとおりです。
理由 | 算定要件 | 点数 |
---|---|---|
長期保存の困難性等 | 1分割調剤につき (1処方箋の2回目以降) |
5点 |
後発医薬品の試用 | 1分割調剤につき (1処方箋の2回目のみ) |
分割調剤について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
2-4.地域支援体制加算1・2・3・4
地域支援体制加算は、基本となる施設基準を満たした上で、以下の算定要件をクリアすることで、該当する点数を加算できます。
区分 | 調剤基本料の区分 | 実績要件 | 点数 |
---|---|---|---|
地域支援体制加算1 | 調剤基本料1 | 必須1つを含む3つ以上 | 32点 |
地域支援体制加算2 | 8つ以上 | 40点 | |
地域支援体制加算3 | 調剤基本料1以外 | 必須2つを含む3つ以上 | 10点 |
地域支援体制加算4 | 8つ以上 | 32点 |
地域支援体制加算について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
2-5.連携強化加算
連携強化加算は、災害発生時や新興感染症発生時などに対応する体制を整えている場合に5点を加算できます。
連携強化加算について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
2-6.後発医薬品調剤体制加算1・2・3と減算
後発医薬品調剤体制加算は、後発医薬品の調剤数量の割合に応じて加算点数が異なり、50%以下の場合は減算されます。
区分 | 算定要件 | 点数 |
---|---|---|
後発医薬品調剤体制加算1 | 後発医薬品の調剤数量が80%以上 | 21点 |
後発医薬品調剤体制加算2 | 後発医薬品の調剤数量が85%以上 | 28点 |
後発医薬品調剤体制加算3 | 後発医薬品の調剤数量が90%以上 | 30点 |
(後発医薬品減算) | 後発医薬品の調剤数量が50%以下 ※月600回以下の保険薬局などを除く |
▲5点 |
後発医薬品調剤体制加算について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
2-7.在宅薬学総合体制加算1・2
在宅薬学総合体制加算の算定要件と点数は以下のとおりです。
区分 | 算定要件 | 点数 |
---|---|---|
在宅薬学総合体制加算1 | ● 在宅患者訪問薬剤管理指導料等24回以上 ● 緊急時等対応 ● 医療・衛生材料 など |
15点 |
在宅薬学総合体制加算2 | ● 在宅薬学総合体制加算1の要件を全てクリア ● かかりつけ薬剤師指導料等24回以上 ● 高度管理医療機器販売業の許可 など |
50点 |
在宅薬学総合体制加算について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
2-8.医療DX推進体制整備加算
医療DX推進体制整備加算の算定要件と点数は、以下のとおりです(2024年9月時点)。
名称 | 算定要件 | 点数 |
---|---|---|
医療DX推進体制整備加算 | ● 電子処方箋を受け付ける体制 ● 電磁的記録による調剤録および薬剤服用歴の管理の体制 ● 電子カルテ情報共有サービスにより取得される診療情報等を活用する体制 など |
4点 (月1回) |
医療DX推進体制整備加算について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
3.薬剤調製料と加算の算定要件・点数一覧
薬剤調製料と加算には、以下の項目があります。
薬剤調製料 | 内服薬 |
頓服薬 | |
浸煎薬 | |
湯薬 | |
注射薬 | |
外用薬 | |
内服用滴剤 | |
加算 | 無菌製剤処理加算 |
麻薬等加算(麻薬、向精神薬、覚醒剤原料、毒薬) | |
自家製剤加算(内服薬、頓服薬、外用薬) | |
計量混合加算(内服薬、頓服薬、外用薬) | |
時間外加算等(時間外、休日、深夜) | |
夜間・休日等加算 |
それぞれの算定要件と点数について見ていきましょう。
3-1.薬剤調製料
薬剤調製料には、内服薬、頓服薬、浸煎薬、湯薬、注射薬、外用薬、内服用滴剤の区分があります。算定要件と点数は以下のとおりです。
種類 | 算定要件 | 点数 | |
---|---|---|---|
内服薬 | 1剤につき、3剤分まで | 24点 | |
頓服薬 | 1処方につき | 21点 | |
浸煎薬 | 1調剤につき、3調剤分まで | 190点 | |
湯薬 | 1調剤につき、3調剤分まで | 7日分以下 | 190点 |
8~28日分 | 190点+10点/1日分(8日分以上) | ||
29日分以上 | 400点 | ||
注射薬 | 1処方につき | 26点 | |
外用薬 | 1調剤につき、3調剤分まで | 10点 | |
内服用滴剤 | 1調剤につき | 10点 |
薬剤調製料について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
3-2.無菌製剤処理加算
無菌製剤処理加算の算定要件と点数は以下のとおりです。
種類 | 算定要件 | 点数 | |
---|---|---|---|
6歳以上 | 6歳未満 | ||
中心静脈栄養法用輸液 | 2以上の注射薬を混合 | 69点 | 137点 |
抗悪性腫瘍剤 | 2以上の注射薬を混合 (生理食塩水などでの希釈も含む) |
79点 | 147点 |
麻薬 | ● 麻薬を含む2以上の注射薬を混合 (生理食塩水などでの希釈も含む) ● 原液を無菌的に充てん |
69点 | 137点 |
無菌製剤処理加算について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
3-3.麻薬等加算(麻薬、向精神薬、覚醒剤原料または毒薬加算)
麻薬等加算は、麻薬または向精神薬、覚醒剤原料、毒薬が処方された場合に加算できます。
加算の種類 | 算定要件 | 点数 |
---|---|---|
麻薬 | 1調剤につき | 70点 |
向精神薬、覚醒剤原料、毒薬 | 8点 |
麻薬等加算について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
3-4.自家製剤加算
自家製剤加算は、内服薬、頓服薬、外用薬によって算定点数が異なります。算定要件と点数は以下のとおりです。
種類 | 算定要件 | 点数 | |
---|---|---|---|
内服薬 | ● 1調剤につき ● 錠剤を分割した場合は20/100に相当する点数を算定 |
錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、エキス剤 | 7日分につき20点 |
液剤 | 45点 | ||
頓服薬 | 錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、エキス剤 | 90点 | |
液剤 | 45点 | ||
外用薬 | 錠剤、トローチ剤、軟・硬膏剤、パップ剤、リニメント剤、坐剤 | 90点 | |
点眼剤、点鼻・点耳剤、浣腸剤 | 75点 | ||
液剤 | 45点 |
自家製剤加算について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
3-5.時間外加算等
時間外加算等には、時間外加算、休日加算、深夜加算があり、それぞれ算定点数が異なります。
名称 | 算定要件 | 点数 |
---|---|---|
時間外加算 | 基礎額には以下の項目を含む ● 調剤基本料(加算含む) ● 薬剤調製料 ● 無菌製剤処理加算 ● 調剤管理料 |
基礎額の100% |
休日加算 | 基礎額の140% | |
深夜加算 | 基礎額の200% |
時間外加算等について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
3-6.夜間・休日等加算
夜間・休日等加算の算定要件と点数は以下のとおりです。
名称 | 算定要件 | 点数 |
---|---|---|
夜間・休日等加算 | 処方箋受け付け1回につき | 40点 |
3-7.計量混合調剤加算
計量混合調剤加算は、内服薬、頓服薬、外用薬について計量・混合した場合に算定できる加算です。算定要件と点数は以下のとおりです。
種類 | 算定要件 | 点数 |
---|---|---|
液剤 | 1調剤につき | 35点 |
散剤、顆粒剤 | 45点 | |
軟・硬膏剤 | 80点 |
計量混合調剤加算について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
4.調剤技術料は平均いくら?
中央社会保険医療協議会総会(2023年7月26日)の資料「調剤について(その1)」によると、2022年度(2022年4月~2023年2月)の調剤技術料の平均は、処方箋1枚当たり1,222円(調剤基本料784円+薬剤調製料438円)でした。2021年は1,836円(調剤基本料777円+調剤料1,059円)だったことから、大きく減額されているのが分かります。
調剤技術料の平均が大きく下がったのは、2022年度の診療報酬改定で調剤報酬の体系が変わったことが要因でしょう。前述したとおり、調剤技術料のひとつである調剤料は、2022年度以前において対物業務と対人業務を評価する項目でした。
2022年度の改定で調剤料は薬剤調製料へと名称変更するとともに、対物業務のみを評価する項目となっています。調剤料で評価していた対人業務は、薬学管理料で評価することになったため、その分調剤技術料の平均が大きく減額されたと考えられます。
薬学管理料について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
5.調剤技術料で評価する項目を理解しよう
調剤技術料には、薬局の体制整備を評価する調剤基本料と、薬剤の調整や監査業務といった対物業務を評価する薬剤調製料があり、各項目について理解しておくことが大切です。それぞれ加算が設けられているため、自薬局が算定できる項目をチェックしておきましょう。
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薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。