服用薬剤調整支援料2は、2026年度調剤報酬改定で大きく変更されました。以前は、処方医へ重複投薬などを解消するための提案を行うことで算定できるものでしたが、2026年度改定により、ポリファーマシーの解消に向けた包括的な介入を評価するものとなっています。本記事では、服用薬剤調整支援料2の概要や2026年度調剤報酬改定での変更点について解説するとともに、算定要件や点数、よくあるQ&Aについてもお伝えします。

1.服用薬剤調整支援料2とは?
服用薬剤調整支援料2とは、複数の医療機関から内服薬が合わせて6種類以上処方されている患者さんに対して、患者さんやその家族などから希望があった場合に、かかりつけ薬剤師がポリファーマシーの解消に向けて包括的に介入することを評価するものです。
2026年度調剤報酬改定で、算定の趣旨や点数・算定要件が大きく見直されました。
1-1.服用薬剤調整支援料1との違い
服用薬剤調整支援料1も、ポリファーマシーの解消に関わる取り組みを評価したものです。2026年度改定での変更はありませんでした。服用薬剤調整支援料1は、4週間以上継続して6種類以上の服用薬がある患者さんが、2種類以上減薬した状態が4週間以上継続した場合に算定できます。薬剤師に必要な資格などの要件はありません。
一方で、服用薬剤調整支援料2は、かかりつけ薬剤師であると同時に、日本老年薬学会が開催する研修会の受講や認定薬剤師の取得が要件に含まれています。また、服用薬剤調整支援料1と異なり、具体的な減薬数についての規定はありませんが、患者さんへの聴取や客観的なデータなどを踏まえた評価・対応案など、薬剤師の職能を十分に発揮し、患者さんに適した薬物治療について積極的に関わっていくことが求められています。
2.2026年度調剤報酬改定での変更点
2026年度調剤報酬改定で、服用薬剤調整支援料2は評価の対象となる業務が大きく変更されました。その結果、点数や算定要件が見直されています。主な変更点は以下のとおりです。
| 改定前 | 改定後 | |
|---|---|---|
| 目的 | 重複投薬などの解消に関わる取り組みを評価 | かかりつけ薬剤師によるポリファーマシーの状態にある患者さんへの包括的介入を評価 |
| 点数 | イ:110点 ロ:90点 |
1000点 |
| 算定頻度 | 3カ月に1回まで | ● 6カ月に1回まで ● かかりつけ薬剤師1人につき月4回まで |
| 対応薬剤師 | 指定なし | 日本老年薬学会の研修受講または認定薬剤師の資格を取得したかかりつけ薬剤師 |
| 算定の判断 | 重複投薬などが確認された場合 | 服用中の薬剤の調整が必要と認める場合 |
| 実施内容 | 重複投薬などの解消について文書で提案 | ● 服用薬剤に対する総合的な評価を実施 ● 処方医へ調整内容を文書で提案 |
| 施設基準 | イ:重複投薬などの解消にかかる実績 | 廃止 |
改定により、イ・ロの区分が廃止され、点数が大きく変更されました。多剤併用によるポリファーマシーの解消を目的に、かかりつけ薬剤師による支援・指導が評価される仕組みとなっています。調剤報酬において最も高い点数が設定されており、かかりつけ薬剤師の活躍に大きな期待が寄せられていることがうかがえます。
参考:調剤報酬点数表|厚生労働省
2-1.服用薬剤調整支援料2が見直された背景
服用薬剤調整支援料2が見直された背景には、薬剤師による薬物治療への包括的な介入がポリファーマシーの解消に寄与するという報告があり、「薬剤数ではなく、ポリファーマシー対策が適正に実施されているか、質を評価すべき」という意見があったことが挙げられます。
参考:個別事項について(その1)後発医薬品・バイオ後続品の使用体制、服用薬剤調整支援等の評価|中医協 総-2|2025年10月17日|厚生労働省
薬物治療の安全性を向上するための取り組みが、服用薬剤数の削減に限らないことは、医療現場で働く薬剤師が実感しているところではないでしょうか。これからも服用薬剤数の削減に関する取り組みは評価されますが、2026年度改定で服用薬剤調整支援料2は服用薬剤数の削減によらない積極的な調整支援についても大きく評価されるものとなりました。
3.服用薬剤調整支援料2の点数と算定要件
服用薬剤調整支援料2の点数と算定要件は、以下のとおりです。
| 点数 | 1000点 |
|---|---|
| 算定頻度 | ● 6カ月に1回 ● かかりつけ薬剤師1人につき月4回まで |
| 対象患者 | 複数の医療機関から内服薬が合計で6種類以上処方されている患者さん ※在宅患者訪問薬剤管理指導料などを算定している場合であっても、かかりつけ薬剤師の同意を取得して服用薬剤総合評価を実施したときは算定 |
| 説明と了承 | 患者さんまたはその家族などが希望した場合に、以下を説明し了承を得ること (イ)服用薬剤総合評価を実施する意義 (ロ)服用薬剤調整支援料2により発生する患者自己負担額 また、以下について患者さんやその家族、医療従事者などへ結果を伝達すること(ただし、一律ではなく、関係性などを踏まえて内容を適宜変更すること) (イ)患者さんへの聞き取りなどにより確認した内容 (ロ)薬物有害事象であると疑われる症状 (ハ)服薬の状況(薬剤の管理状況なども含む) (ニ)医療従事者と共有する内容 (ホ)今後生活を送る上での注意点 |
| 対応薬剤師 | 以下のいずれかの要件を満たした「かかりつけ薬剤師」 ● 日本老年薬学会の提供する老年薬学服薬総合評価研修会を修了 ● 日本老年薬学会が定める老年薬学認定薬剤師 |
| 実施内容 | 服用薬剤を継続的・一元的に把握し調整の必要性がある場合に、以下の総合的な管理・評価を全て実施 (イ)薬物治療に関する患者さんまたはその家族などからの主観的情報の聴取 (ロ)検査値などの薬物治療に必要な客観的情報の収集 (ハ)服薬支援に必要な患者さんの生活状況および意向に関する情報の聴取 (ニ)各服用薬剤がもたらす治療効果および有害事象の評価 (ホ)解決すべき薬剤関連問題の特定および整理 (ヘ)服用薬剤調整後の観察計画および対応案の立案 |
| 参照資料 | ● 日本版抗コリン薬リスクスケール(日本老年薬学会) ● 高齢者施設の服薬簡素化提言(日本老年医学会・日本老年薬学会) ● 「おくすり問診票」を必要に応じて主観的情報の聴取で活用(「ポリファーマシー対策のための持参薬鑑別評価シート開発に関する研究」[国立高度専門医療研究センター横断的研究推進費]) |
| 情報提供・記録 | 別紙様式2を用いるとともに、薬剤服用歴に保存 |
| 算定できないケース | ● 特別調剤基本料Aを算定する薬局が特別な関係にある医療機関へ情報提供をする場合 ● 特別調剤基本料Bを算定する薬局 ● 2026年6月1日から2027年5月31日までの間 |
4.服用薬剤調整支援料2に関するQ&A
ここでは、服用薬剤調整支援料2に関するよくあるQ&Aを紹介します。
4-1.「おくすり問診票」とは?
服用薬剤調整支援料2の算定要件にある「おくすり問診票」とは、国立長寿医療研究センターのホームページで公開されている問診票です。ポリファーマシーが疑われる患者さんを容易に抽出できるように、国立長寿医療研究センターが開発しました。
参考:薬剤部の溝神文博が開発した「おくすり問診票」をホームページへ公開しました | 国立長寿医療研究センター
「おくすり問診票」は、原文のまま利用することは許可されていますが、「○○薬局」といった改変・引用については認められていないため、使用する場合は、「おくすり問診票の利用に関して」を確認するようにしましょう。
4-2.いつから算定可能?
服用薬剤調整支援料2は、2027年6月1日から算定できるようになります。2026年度改定の施行から1年後に適用されるため、薬剤師は適用日までに患者さんの選定に加え、研修の受講や認定薬剤師の取得、職場内での業務マニュアルやテンプレートの準備などを行う必要があるでしょう。
4-3.算定できないケースは?
服用薬剤調整支援料2は、以下のケースで算定できません。
● 特別調剤基本料Bを算定する薬局
また、2026年6月1日から2027年5月31日までの期間も算定不可となっています。
4-4.薬剤師に必要な資格は?
服用薬剤調整支援料2を算定するためには、服用薬剤の調整支援を行う患者さんのかかりつけ薬剤師であることに加え、以下の研修会の受講または認定薬剤師の取得が必要です。
算定を検討している薬局・薬剤師は、2027年6月1日までを目標に研修の受講または認定薬剤師の資格取得を目指してはいかがでしょうか。
4-5.医師へ情報提供する内容は?
厚生労働省が作成している情報提供書のテンプレート(別紙様式2)によると、以下の点について医師へ情報提供することとされています。
● 薬剤師・薬局の情報
● 相談内容
● 受診中の医療機関・診療科
● 服用薬剤の一覧
これらの内容を情報提供書に記載し、医療機関に送付するとともに、薬剤服用歴に添付して保管することとされています。
4-6.「服用薬剤総合評価シート」とは?
厚生労働省では、情報提供書のテンプレートとは別に、服用薬剤総合評価シートを作成しています。記載内容は以下のとおりです。
● 調剤・服用・薬物治療上の留意点
● 疾患名・検査値・バイタルデータ・特記事項
● 薬学的評価・フォローアップ
● 患者さんへの伝達内容
服用薬剤総合評価シートは、医療機関から希望があった場合に送付することとされています。
5.服用薬剤調整支援料2から読み取れる「薬剤師に期待する役割」とは?
服用薬剤調整支援料2は、薬剤師の職能を十分に発揮することが期待された改定となりました。薬剤師には、患者さんの服用薬について継続的かつ一元的に管理することに加え、重複投薬やポリファーマシーの解消に向けた積極的な関与が求められています。服用薬剤調整支援料2の仕組みから、今後求められる薬剤師像を把握し、適切に対応できる知識を身に付けましょう。

薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。
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