薬剤師のスキルアップ 更新日:2024.11.15公開日:2024.07.04 薬剤師のスキルアップ

外来服薬支援料2(一包化加算)の算定要件・点数と調剤報酬の基本を解説

文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

一包化加算は、2022年度診療報酬改定により「外来服薬支援料2」と名称を変更し、薬学管理料に分類されることになりました。外来服薬支援料2は算定方法がやや複雑な薬学管理料であり、処方日数や剤数、薬剤の種類などさまざまな点を確認し、算定しなければなりません。本記事では、外来服薬支援料2の概要や算定要件、点数のほか、計算方法や剤数・調剤数の数え方を解説します。また、自家製剤加算と計量混合調剤加算の同時算定の可否など算定時の注意点や、日数違いなどの処方例を紹介し、調剤報酬の分類、調剤基本料と加算についてもお伝えします。

 

記事内容についてのお詫びと訂正(2024年9月2日追記)

本記事内の項目「5.外来服薬支援料2(一包化加算)算定時の注意点」について、初出時の記事内容に誤りがありました。
異なる医療機関の処方箋を組み合わせて一包化する場合において、「両病院の処方医に一包化の了解を得るといった算定要件を満たすことで、月1回に限り外来服薬支援料1を算定できます。」との記載がありましたが、外来服薬支援料1は「当該患者又はその家族等が持参した服薬中の薬剤」に係る評価であり、当事例における算定は不可とされています。
そのため、当事例に関連する記述および処方例(6)は削除いたしました。誤った情報の掲載により、読者の皆様、ならびに関係各位にご迷惑をおかけいたしましたことを、深くお詫び申し上げます。

1.外来服薬支援料2(一包化加算)とは?

外来服薬支援料2とは、患者さんのコンプライアンス向上を目的として服薬支援をした場合に算定できる薬学管理料です。
 
処方薬の飲み忘れや飲み間違いなどがある患者さんや、シートから取り出して服用することが困難な患者さんに対して、医師の了解を得た上で、一包化や服薬指導を行い、患者さんの服薬管理を支援した場合に算定できます。

 

1-1.「一包化加算」廃止と「外来服薬支援料2」新設の背景

2022年度の調剤報酬改定以前は、一包化は対物業務とされていたため、調剤料(現:薬剤調製料)の「一包化加算」として評価されていました。しかし、2022年度の改定で対人業務として評価されることになり、新たに薬学管理料の「外来服薬支援料2」が新設され、「一包化加算」は廃止となっています。
 
一包化は、多種類の薬剤を服用する患者さんが、安全安心に薬物治療を継続するために行います。単に1回分が飲みやすくなるようまとめているだけではなく、患者さんの服薬状況を聞き取ったり、コンプライアンスを向上するための指導を行ったりすることが必要です。そのため、対人業務として評価されることとなり、外来服薬支援料2が新設されました。
 
参照:令和4年度調剤報酬改定の概要(調剤)|厚生労働省
 
🔽 外来服薬支援料1について詳しく解説した記事はこちら

 

1-2.一包化を伴う服薬管理支援の現状と課題

2023年7月26日の中央社会保険医療協議会総会(第550回)の資料「調剤について(その1)」では、外来服薬支援料2(一包化加算)の算定回数についての調査結果がまとめられています。
 
2022年度の診療報酬改定で、一包化加算が外来服薬支援料2へと見直されましたが、2022年度の算定回数は前年比で約3%増と同程度で推移しています。
 
また、処方箋の総受付回数のうち、一包化を伴う服薬管理支援をしている割合は23.7%で、そのうちの55.3%は75歳以上の高齢者でした。
 
参照:中央社会保険医療協議会総会(第550回)資料 調剤について(その1)|厚生労働省
 
独居や施設・介護サービスなどを利用する高齢者の中には、認知機能や身体機能が低下しているために自身で服薬管理をするのが難しい人もいるでしょう。そうした患者さんへの服薬管理は、家族や施設職員、介護スタッフなどと協働することで、残薬の解消やアドヒアランスの向上などが期待できます。
 
薬剤師に求められるのは、本人や他者が安全に、かつ安心して服薬管理できるようサポートすることでしょう。2024年度の診療報酬改定では、外来服薬支援料2の加算として「施設連携加算」が新設されました。薬剤師にはこれまで以上に、施設と連携して高齢者の服薬サポートをすることが求められています。
 
参照:令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】|厚生労働省

 
🔽 調剤報酬改定について詳しく解説した記事はこちら

2.外来服薬支援料2(一包化加算)の算定要件

外来服薬支援料2は、処方箋受付1回につき1回算定できます。外来服薬支援料2における一包化とは、以下の処方があった場合に、種類に関わらず服用時点ごとに一包として患者さんに投与することを指します。

 

■外来服薬支援料2が算定できる処方
● 服用時点が異なる2種類以上の内服用固形剤
● 1剤であっても3種類以上の内服用固形剤

 

なお、服用時点が異なる2種類以上の内服用固形剤を一包化する場合は、服用時点が重なる必要があります。
 
また、患者さんの服薬や薬剤の識別が容易にできるよう、以下のように一包化を行った場合についても、外来服薬支援料2を算定できます。

 

■服薬や薬剤の識別を容易にするための一包化例
● 錠剤と散剤を別々に一包化した場合
● 臨時薬と定時薬の内服用固形剤を別々に一包化した場合

 

ただし、処方箋受付1回につき1回に限りとされています。

 

2-1.外来服薬支援料2の施設連携加算

2024年度の診療報酬改定では、外来服薬支援料2の加算項目として「施設連携加算」が新設されました。

 

■外来服薬支援料2の加算
加算 点数
施設連携加算 50点

 

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の施設職員と協働して、支援や指導を行った場合に算定できます。

 
🔽 施設連携加算について詳しく解説した記事はこちら

 

2-2.外来服薬支援料2と同時算定できない算定項目

外来服薬支援料2を算定した場合、以下については算定できません。

 

■外来服薬支援料2と同時算定できない算定項目
● 外来服薬支援料1
● かかりつけ薬剤師包括管理料
● 自家製剤加算
● 計量混合調剤加算

 

なお、特別調剤基本料Bを算定している薬局は、外来服薬支援料2を算定できません。

 

参照:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省

3.外来服薬支援料2(一包化加算)の点数

外来服薬支援料2の点数は処方日数によって異なります。投与日数が42日分以下の場合は、7日分ごとに34点を加算し、43日分以上の場合は、投与日数に関わらず240点を算定します。

 

■外来服薬支援料2の算定点数
投与日数 所定点数
1週以内 1~7日 34点
2週以内 8~14日 68点
3週以内 15~21日 102点
4週以内 22~28日 136点
5週以内 29~35日 170点
6週以内 36~42日 204点
6週以上 43日以上 240点

参照:調剤報酬点数表|厚生労働省

 

1~42日分までは1週間ごとに34点ずつ算定でき、43日分以上は一律240点です。この数字は覚えておきましょう。

4.外来服薬支援料2(一包化加算)の計算方法と処方例

外来服薬支援料2を計算するには、内服薬の剤数のカウント方法を理解する必要があります。内服薬の「剤数」は薬の数ではなく、服用時点の数をカウントします。
 
例えば、5種類の薬について1日1回朝食後に服用する指示がある場合、「薬の種類」ではなく朝食後という「服用時点」を見るため、この場合は「1剤」とします。それでは、具体的な処方の例を見ながら、外来服薬支援料2の算定方法を考えてみましょう。

 

■処方例1
Rp1)
Aカプセル10mg 1カプセル
B錠 1錠            朝食後 28日分
Rp2)
C錠250mg 2錠       朝夕食後 28日分

 

服用時点が朝食後と朝夕食後の「2剤」、かつ朝食後で服用時点が重なっており要件を満たしています。投与日数が28日と4週以内なので、34×4=136点と計算できます。
 
それでは、以下の処方の場合はどうでしょうか。

 

■処方例2
Rp1)
A錠250mg 3錠
B錠40mg 3錠   毎食後 28日分

 

服用時点が毎食後の「1剤」で、薬の種類は2種類です。要件を満たしていないため、算定できません。
 
また、次の処方を一包化する場合を考えてみましょう。

 

■処方例3
Rp1)
Aカプセル10mg 1カプセル
B錠100mg 1錠         朝食後 28日分
Rp2)
C錠5mg 1錠          夕食後 28日分

 

服用時点が朝食後と夕食後の「2剤」ですが、重なっている服用時点がないため算定できません。

 

4-1.「剤数」と「調剤数」の考え方

ここで改めて、「剤数」と「調剤数」について確認しておきましょう。外来服薬支援料2を算定する上で必要なのは「剤数」ですが、薬剤調製料では、「剤数」と「調剤数」を考えなければなりません。
 
薬剤調製料では、内服薬は「剤数」、内服用滴剤や外用薬、湯薬、浸煎薬などは「調剤数」を数えます。頓服薬は「剤数」でカウントしますが、1回の処方箋受付につき1剤までしか算定できません。そのほかについても、剤数または調剤数でカウント方法や算定要件が決まっています。
 
それでは、具体例を見てみましょう。

 

■処方例4
Rp1)
A錠100mg 3錠 
B錠250mg 3錠 毎食後 3日分
Rp2)
C錠20mg 3錠 毎食後 5日分
Rp3)
Dテープ2mg 5枚 1日1枚
Rp4)
Eローション 50g 1日2、3回 乾燥部位

 

上記の場合、内服薬の「剤数」は、Rp1、2ともに毎食後のため、合わせて「1剤」とカウントします。「調剤数」は、Rp1が3日分、Rp2が5日分と日数が異なるため「2調剤」となり、Rp.1、2は合わせて1剤2調剤です。外用薬は3調剤までカウントできるため、Rp3、4は2調剤となります。
 
「剤数」や「調剤数」のカウントは、ほとんどの場合、レセプトコンピュータ(レセコン)に薬品を入力すると自動計算が行われます。業務の中で「剤数」や「調剤数」を毎回計算することはありませんが、入力次第で間違って計算されてしまうこともあります。薬剤師は正しい計算方法を把握しておく必要があるでしょう。

5.外来服薬支援料2(一包化加算)算定時の注意点

外来服薬支援料2を算定する上で、注意しておきたい点について、処方例とともに見ていきましょう。

 

5-1.同一医療機関の異なる診療科の処方箋を組み合わせて一包化する場合は算定できる

同一病院の他科処方箋を組み合わせて一包化をする場合、要件をクリアできると外来服薬支援料2が算定可能です。
 
例えば、以下の処方例について考えてみましょう。

 

■処方例5
A病院 内科 A病院 糖尿病科
Rp1)
C錠4mg 1錠
D錠1mg 1錠 朝食後 30日分
Rp1)
E錠1mg 1錠 朝食後 30日分

 

この場合、同じ病院から処方を受けているため、内科、糖尿病科の両科の処方医に一包化の了解を得ることで外来服薬支援料2を算定できます。ただし、処方箋受付が1回となる場合に限ります。

 

5-2.自家製剤加算・計量混合調剤加算と外来服薬支援料2(一包化加算)は同時算定できない

外来服薬支援料2は一包化という技術に対して評価されるものです。服用時点が重なるケースにおいて、半錠にした錠剤や散剤をまとめて一包化した場合、自家製剤加算や計量混合調剤加算と合わせて算定することはできません。
 
以下の処方例を一包化した場合について見てみましょう。

 

■処方例7
Rp1)
A錠20mg 2錠   朝食後・就寝前 14日分

Rp2)
B錠10mg 1錠
C錠0.25mg 0.5錠 就寝前 14日分

 

上記の場合、Rp1、2で外来服薬支援料2の算定要件をクリアします。そのため、外来服薬支援料2を算定する場合は、C錠の自家製剤加算が算定できません。このケースでは、外来服薬支援料2もしくは自家製剤加算を算定することになります。
 
それでは、A錠20mgが朝夕食後の場合はどうでしょうか。

 

■処方例8
Rp1)
A錠20mg 2錠   朝夕食後 14日分
Rp2)
B錠10mg 1錠
C錠0.25mg 0.5錠 就寝前 14日分

 

この場合、Rp1と2の服用時点が重なっておらず、Rp2が1剤2種類なので外来服薬支援料2の算定要件を満たしません。そのため、C錠0.25mgは自家製剤加算が算定できます。
 
続いて、B錠10mgが夕食後の場合を見てみましょう。

 

■処方例9
Rp1)
A錠20mg 2錠   朝夕食後 14日分
Rp2)
B錠10mg 1錠   夕食後 14日分
Rp3)
C錠0.25mg 0.5錠 就寝前 14日分

 

A錠20mgとB錠10mgは2剤とカウントでき、夕食後で重なっているため、外来服薬支援料2が算定できます。C錠0.25mgは外来服薬支援料2の算定に関わっていないため、自家製剤加算が算定可能です。

 
🔽 自家製剤加算について詳しく解説した記事はこちら

 

5-3.同一成分は規格違いであってもまとめる

規格違いの薬剤を複数処方されるケースもあります。その場合、同一成分はまとめるため、剤数と種類をカウントする際は注意が必要です。

 

■処方例10
Rp1)
A錠1mg 1錠
A錠2mg 1錠
B錠25mg 2錠
B錠100mg 1錠 夕食後 14日分

 

この場合は、服用時点が夕食後のみのため1剤です。同一有効成分・同一剤形で規格が異なる薬剤が処方されている場合は、まとめてカウントします。A錠とB錠の2種類と判断するため、上記の処方では1剤2種類となり外来服薬支援料2は算定できません。

 

5-4.処方日数違いの薬を一包化する場合の算定日数に注意する

隔日投与の薬と一緒に一包化する場合、算定できる日数は隔日投与の日数となります。
 
具体的に処方例を見てみましょう。

 

■処方例11
Rp1)
A錠80mg 1錠
B錠25mg 1錠 朝食後 30日分
Rp2)
C錠1mg 1錠 朝食後 15日分 隔日投与

 

この例では、15日分だけ外来服薬支援料2の算定基準を満たすため、投与日数3週以内となり、34点×3=102点を算定することになります。
 
隔日投与が2種類ある場合を見てみましょう。

 

■処方例12
Rp1)
A錠80mg 1錠 
B錠25mg 1錠 朝食後 30日分
Rp2)
C錠1mg 1錠 
C錠0.5mg 1錠 朝食後 15日分 
隔日投与(1mgと0.5mgを交互に服用)

 

上記は、C錠1mgと0.5mgを交互に服用する処方です。Rp2は規格違いの同一成分のため、1種類としてカウントします。また、隔日投与のため1mgと0.5mgを合わせて30日分と考えます。外来服薬支援料2は1剤3種類30日分となり、34点×5=170点を算定することになります。

 

5-5.薬剤の特性によって算定できない場合がある

例えば、吸湿性の高い薬剤は、基本的に一包化ができないことになっています。その他の薬剤で要件を満たさない場合、外来服薬支援料2は算定できないでしょう。例として、セレニカR錠200mgを含めた処方例について見ていきましょう。

 

■処方例13
Rp1)
セレニカR錠200mg 1錠   朝食後
Rp2)
テグレトール錠100mg 2錠
デパス錠0.5mg 2錠     朝夕食後

 

「2剤」のため、一見すると外来服薬支援料2を算定できそうに思えますが、場合によって算定できない可能性があります。
 
セレニカR錠200mgは徐放性製剤で、吸湿することによって薬剤の溶出が加速されることがあると添付文書に記載されています。インタビューフォームでは無包装での苛酷試験で保存期間が48時間とされていることからも、セレニカR錠200mgの一包化はなるべく避けた方がよいでしょう。
 
一方、同じバルプロ酸ナトリウムを成分とするデパケンR錠200mgは、苛酷試験において「6カ月目に溶出時間がわずかに短縮した」とインタビューフォームに記載されています。そのため、3カ月程度であれば一包化可能と判断できます。セレニカR錠200mgを処方されている患者さんが、一包化を必要としているのであれば、対応方法は以下の2つが考えられます。

 

■吸湿性の高い薬剤の対応方法例
1.セレニカR錠200mgのみシートで管理してもらう
2.一包化可能な先発品やジェネリック医薬品に変更する

 

1の場合、外来服薬支援料2は算定できません。2は外来服薬支援料2の算定が可能なケースです。ただし、一包化が可能であっても、薬剤の特性上、保存状況によっては薬剤の溶出が起こる可能性もあるでしょう。服薬指導の際は、保存方法についても指導することが大切です。

 
🔽 服薬指導について詳しく解説した記事はこちら

 

他にも遮光が必要な薬剤など、一包化に向いていない薬剤は意外とあります。調剤薬局によって一包化の方針が異なるため、一包化の可否に悩んだ時は添付文書などを確認した上で、上司や同僚に相談しましょう。
 
参照:セレニカR顆粒40%/セレニカR錠200mg/セレニカR錠400mg|医薬品医療機器総合機構

6.調剤報酬の分類

調剤報酬は、大きく以下の4つに分類されます。

 

■調剤報酬の4分類
1.調剤技術料
2.薬学管理料
3.薬剤料
4.特定保険医療材料料

 

1.調剤技術料と2.薬学管理料は、薬局の設備や指導内容、調剤の手技など「薬局の機能」に対する評価の項目です。一方で、3.薬剤料と4.特定保険医療材料料は「もの」に対する評価の項目です。
 
3・4の「もの」に対する点数は薬価や売価という形で決まっているため、患者さんの状況に左右されることはありません。一方、1・2の「薬局の機能」に対する点数は、薬局の設備、患者さんの年齢、お薬手帳の有無、行った服薬指導や調剤手技によって変動します。

 

6-1.調剤技術料

調剤技術料は、調剤基本料と薬剤調製料の2つに分かれており、それぞれの加算項目についても細かく規定されています。調剤基本料は薬局の機能や設備に対する評価、薬剤調製料は調剤における対物業務への評価です。
 
🔽 調剤技術料について詳しく解説した記事はこちら

 

6-2.薬学管理料

薬学管理料には、調剤管理料や服薬管理指導料、かかりつけ薬剤師指導料、服薬情報等提供料、外来服薬支援料など、さまざまな項目があります。加算項目を設けているものもあり、対人業務を評価するものとなっています。
 
🔽 薬学管理料について詳しく解説した記事はこちら

 

6-3.薬剤料

薬剤料の算定項目は使用薬剤料のみです。使用薬剤料は、薬剤の薬価が薬剤調製料の所定単位につき15円以下の場合は1点、15円を超える場合の加算は10円または端数ごとに1点とされています。
 
特別調剤基本料AまたはBを算定する薬局は、同一処方月日において7種類以上の内服薬(特に規定するものを除く)を調剤した場合に、所定点数の100分の90に相当する点数を算定します。

 

6-4.特定保険医療材料料

特定保険医療材料料の算定項目は特定保険医療材料のみです。材料価格を10円で除して得た点数を算定します。
 
使用した特定保険医療材料の材料価格は厚生労働省が定めています。薬局で交付できる特定保険医療材料は決まっており、別に定めている「自己注射以外の目的で患者さんが使用する注射器」や「在宅医療以外の目的で患者さんが使用する特定保険医療材料」は算定できません。
 
参照:調剤報酬点数表|厚生労働省
参照:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省

7.自薬局の調剤基本料と加算を確認しよう

調剤基本料は、薬局の体制や設備などを評価した項目です。調剤基本料の点数や算定要件、加算項目について見ていきましょう。

 

7-1.調剤基本料の点数

処方箋の受付枚数や処方箋集中率などの基準によって、薬局ごとに下記5種類のうちいずれかの点数が決まっています。

 

■調剤基本料の点数
区分 点数
調剤基本料1 45点
調剤基本料2 29点
調剤基本料3 イ 24点
ロ 19点
ハ 35点
特別調剤基本料A 5点
特別調剤基本料B 3点

 

また、「地域支援体制加算」「連携強化加算」「後発医薬品調剤体制加算」などの加算もあり、一度自薬局の基本料と加算の算定状況について確認しておくとよいでしょう。

 
🔽 調剤基本料について詳しく解説した記事はこちら

 

7-2.調剤基本料の算定要件

調剤基本料の算定要件については以下のとおりです。

 

7-2-1.調剤基本料1の主な算定要件

● 調剤基本料2・3および特別調剤基本料A以外の薬局
● 医療資源の少ない地域に所在する薬局

 

調剤基本料の中で最も算定点数が高い調剤基本料1は、2・3および特別調剤基本料Aの算定要件に該当しない薬局と、医療資源の少ない地域の薬局が算定できる調剤技術料です。

 

7-2-2.調剤基本料2の主な算定要件

処方箋受付回数および集中率が、次のいずれかに該当する薬局
 (イ)月4,000回超かつ上位3医療機関に係る合計受付回数の集中率70%超
 (ロ)月2,000回超かつ集中率85%超
 (ハ)月1,800回超かつ集中率95%超
 (ニ)特定の保険医療機関に係る処方箋が月4,000回超

参照:調剤報酬点数表(令和6年6月1日施行)|日本薬剤師会

 

調剤基本料2は、上記に該当する薬局が算定できます。「特定の保険医療機関に係る処方箋の受付回数」については、医療モールのように保険薬局と同一建物内に保険医療機関が複数ある場合、同一建物内の保険医療機関に係る処方箋の受付回数は合算しなければなりません。また、同一グループの他の保険薬局で集中率が最も高い保険医療機関が同一の場合は、当該保険薬局の処方箋受付回数を含みます。

 

7-2-3.調剤基本料3の主な算定要件

同一グループの保険薬局の処方箋受付回数(または店舗数)の合計および当該薬局の集中率が、次のいずれかに該当する保険薬局
 (イ)月3.5万回超~4万回以下&集中率95%超、月4万回超~40万回以下&集中率85%超、月3.5万回超&特定の保険医療機関と不動産の賃貸借取引
 (ロ)月40万回超(または300店舗以上)&集中率85%超、月40万回超(または300店舗以上)&特定の保険医療機関と不動産の賃貸借取引
 (ハ)月40万回超(または300店舗以上)&集中率85%以下

参照:調剤報酬点数表(令和6年6月1日施行)|日本薬剤師会

 

調剤基本料3は、上記の「イ」「ロ」「ハ」の3つの区分に分かれています。

 

7-2-4.調剤基本料A・Bの主な算定要件

特別調剤基本料A 保険医療機関と特別な関係(同一敷地内)&集中率50%超の保険薬局
※1. 地域支援体制加算・後発医薬品調剤体制加算等は▲90%で算定
※2. 薬学管理料に属する項目(一部を除く)は算定不可
特別調剤基本料B 調剤基本料に係る届出を行っていない保険薬局
※1. 調剤基本料の各種加算および薬学管理料に属する項目は算定不可

参照:調剤報酬点数表(令和6年6月1日施行)|日本薬剤師会

 

特別調剤基本料A、Bの薬剤料は、同一処方月日において7種類以上の内服薬の調剤を行った場合、マイナス10%で算定しなければなりません。

 
🔽 特別調剤基本料について詳しく解説した記事はこちら

 

調剤報酬算定の鑑査は、調剤録や調剤報酬明細書を使って実施できます。事前に算定する点数を把握しておき、投薬時には調剤録や明細書に記載された情報を確認しましょう。
 
参照:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省

 

7-3.調剤基本料の加算項目

調剤基本料には以下のような加算項目があります。

 

■調剤基本料の加算項目
加算項目 点数
地域支援体制加算1
地域支援体制加算2
地域支援体制加算3
地域支援体制加算4
32点
40点
10点
32点
連携強化加算 5点
後発医薬品調剤体制加算1
後発医薬品調剤体制加算2
後発医薬品調剤体制加算3
後発医薬品減算
21点
28点
30点
▲5点
在宅薬学総合体制加算1
在宅薬学総合体制加算2
15点
50点
医療DX推進体制整備加算 4点

参照:調剤報酬点数表(令和6年6月1日施行)|日本薬剤師会

 

それぞれ細かく算定要件が定められているので、自薬局がどの要件を満たすのか確認しましょう。

 
🔽 調剤基本料の加算について詳しく解説した記事はこちら





8.外来服薬支援料2を含めて調剤報酬を正しく算定しよう

調剤報酬は薬局や薬剤師としての機能を果たした時に算定する点数です。算定漏れや過剰算定をしないよう知識を取得して、チェック方法を考えておきましょう。特に、調剤報酬の改定がある年や経験の浅い薬剤師がいる場合は、薬局内での情報共有が大切です。本記事で解説した外来服薬支援料2を含め、間違いの起こりやすい項目を把握・共有することで、算定ミスを未然に防ぎましょう。

 
🔽 調剤報酬に関連する記事はこちら



























参考URL

令和6年度診療報酬改定について|厚生労働省

 

参考書籍

■水口錠二・著『【最新’18-’19年版】世界一やさしい調剤報酬請求事務の入門ノート』(ぱる出版)
■NIメディカルオフィス・編『調剤報酬請求事務 基礎知識とレセプト作成 Version7』(一ツ橋書店)


執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。