- 1.乳幼児服薬指導加算とは?
- 1-1.乳幼児加算とは?
- 2.乳幼児服薬指導加算の算定要件
- 2-1.乳幼児服薬指導加算の算定ポイント
- 2-2.乳幼児服薬指導加算の個別指導に関して
- 3.乳幼児服薬指導加算に関する疑義解釈Q&A
- 3-1.お薬手帳を持参しなかった患者さんに算定できる?
- 3-2.お薬手帳を利用していない患者さんにシールを交付した場合は算定できる?
- 3-3.外用薬のみでも算定できる?
- 3-4.指導内容によって算定できないことはある?
- 4.乳幼児服薬指導加算、算定時に活用したいコメントの例文
- 4-1.初めて薬を使用する
- 4-2.初めて使用する剤形場合
- 4-3.工夫して服用する必要がある薬
- 4-4.服用拒否が強い乳幼児への対応
- 4-5.誤飲防止の注意喚起
- 5.乳幼児服薬指導加算を算定しよう
1.乳幼児服薬指導加算とは?
乳幼児服薬指導加算とは、6歳未満の乳幼児またはその家族に対して、必要な服薬指導を行った場合に算定できる加算項目です。服薬管理指導料またはかかりつけ薬剤師指導料に設定された加算項目で、算定要件を満たすことで12点を算定できます。
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1-1.乳幼児加算とは?
乳幼児服薬指導加算と類似したものに、乳幼児加算があります。乳幼児加算は、次の薬学管理料について設けられた項目です。
▶在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
▶在宅患者緊急時等共同指導料
算定要件を満たすことで100点または12点(オンラインの場合)を算定できます。
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2.乳幼児服薬指導加算の算定要件
乳幼児服薬指導加算を算定するためには、次の要件を満たす必要があります。
項目 | 要件 |
対象患者 | 6歳未満の乳幼児 |
受付時の確認事項 | 体重、適切な剤形、その他の必要事項 |
服薬指導 | 患者や家族などに、服薬方法や誤飲防止などについて指導 |
記録 | 受付時に行った確認事項と服薬指導の内容を薬歴と手帳に記載 |
服用期間中の対応 | 家族からの問い合わせに適切に対応・指導を行い、要点を薬歴に記録 |
6歳未満の乳幼児の調剤を行う際は、必要事項を患者またはその家族などに確認した上で、服薬指導を行います。確認事項や指導内容を薬歴とお薬手帳に記載した場合に、乳幼児服薬指導加算として12点を加算できます。
2-1.乳幼児服薬指導加算の算定ポイント
乳幼児服薬指導加算は、次のような場合、指導漏れがないよう対応する必要があります。
▶初めて使用する剤形がある
▶工夫して服用する必要がある薬が処方されている
その他、服用拒否などで薬を服用させるのが難しい乳幼児には、状況に合わせた対処法を提案します。誤飲が起こりやすいと考えられる場合は、注意喚起することも大切です。
2-2.乳幼児服薬指導加算の個別指導に関して
調剤薬局における個別指導は、保険調剤の質的向上と適正化を図り、保険調剤の取り扱いや調剤報酬の請求などを周知することを目的としています。個別指導の種類や対象者、実施者については以下です。
個別指導の種類 | 都道府県個別指導 | 共同指導 | 特定共同指導 |
対象者 | 保険薬局・保険薬剤師 | ||
実施者 | 地方厚生(支)局・都道府県 | ||
厚生労働省 |
※特定共同指導:同一開設者に係る複数の都道府県に所在する保険薬局が対象
参照:保険調剤の理解のために(令和5年度)|厚生労働省
乳幼児服薬指導加算についての個別指導では、次のような点が指摘される傾向にあります。
▶薬剤服用歴の記録または手帳に患者の家族等に対して行った適切な服薬方法、誤飲防止等の必要な服薬指導の要点の記載がないまたは不十分である。
参照:令和4年度個別指導における主な指摘事項(薬局)|東北厚生局
乳幼児服薬指導加算で個別指導を受けるケースとして、特に「記録内容の不備」が挙げられます。算定要件にも明記されているため、不備のないよう記録を残すことが大切です。
もし個別指導を受けた場合には、「概ね妥当」「経過観察」「再指導」「要監査」のいずれかに評価され、指摘事項について対応します。「再指導」の場合は都道府県個別指導を、「要監査」の場合は監査を受けることになります。
3.乳幼児服薬指導加算に関する疑義解釈Q&A
調剤業務を行う上で、乳幼児服薬指導加算が算定できるのか不安になるケースもあるでしょう。ここでは、『保険調剤Q&A 令和4年度(調剤報酬点数のポイント)』(じほう刊)を参考に、乳幼児服薬指導加算の算定時によくあるケースについて紹介しましょう。
3-1.お薬手帳を持参しなかった患者さんに算定できる?
必要事項の確認・指導を行い、お薬手帳に貼付するためのシールを交付した場合には、お薬手帳を持参していなくても、乳幼児服薬指導加算を算定することが認められています。ただし、次回来局した際は、シールが貼られているかを確認しなければなりません。
3-2.お薬手帳を利用していない患者さんにシールを交付した場合は算定できる?
お薬手帳を利用していない患者さんに対しては、手帳を交付した場合に算定できるとされています。お薬手帳を活用していない患者さんには、お薬手帳を持つことのメリットをしっかりと説明し、理解を得た上で手帳を発行して、算定を進めましょう。
3-3.外用薬のみでも算定できる?
乳幼児服薬指導加算は、名称に「服薬」とあることから内服薬に限定した加算項目と誤解されることがあります。しかし、剤形ごとに算定の可否を判断する項目ではないため、内服薬以外についても算定可能です。剤形にかかわらず、6歳未満の乳幼児の調剤について、必要事項の確認と指導を行うことで算定できます。
3-4.指導内容によって算定できないことはある?
乳幼児服薬指導加算は、初めて使用する薬や服用拒否のある患者さんの家族などに丁寧な指導を行った場合、算定するものと考える薬剤師がいるかもしれません。しかし、乳幼児服薬指導加算は指導内容の濃淡によって算定の可否を判断するものではありません。指導内容にかかわらず、必要事項を確認した上で適切な指導を行い、薬歴やお薬手帳に記録を残すことで算定できます。
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4.乳幼児服薬指導加算、算定時に活用したいコメントの例文
乳幼児服薬指導加算に関する服薬指導には、さまざまなケースがあります。それぞれの状況に合わせたコメント例を紹介します。
4-1.初めて薬を使用する場合
薬を初めて使用するケースでは、服用方法や使用方法について、付き添いの家族などに対して丁寧に説明する必要があります。
▶粉薬は、強く咳き込んでいるときに服用させるとむせてしまいます。咳が落ち着いているときに飲ませましょう。
▶粉薬やシロップ剤をスプーンで服用できない場合は、スポイトで頬の裏に流し込んでください。
▶軟膏やクリームが複数処方されている場合は、塗る順番を守りましょう。保湿剤など広がっても大丈夫なものを先に使い、ステロイドなど広がらない方がよいものを後に使います。
▶テープ剤はお子さまが気になって剥がしてしまうことがあります。背中などなるべく手の届かないところに貼りましょう。
4-2.初めて使用する剤形
初めて使用する剤形が処方されたケースでは、使用方法や注意点などを丁寧に説明しましょう。
▶坐薬は、先端をベビーオイルやオリーブオイルで濡らすと挿入しやすくなります。
▶坐薬は入れた直後に出てしまうことがあります。形が崩れていない場合は、再度挿入するか新しい坐薬を使用しましょう。半分以上溶けていたり挿入後5分以上たっていたりする場合は、新しいものを使用せず次回分から指示通りに使用してください。
▶シロップ剤は、服用前に容器を転倒混和して中身を均一にさせます。その都度、1回量をきちんと量ってから飲ませましょう。激しく振ると泡立ってしまうので、ゆっくり混ぜてください。
4-3.工夫して服用する必要がある薬
薬によっては、水以外で服用することで苦味が出たり、薬自体の味に癖があったりします。飲み方を工夫することで飲みやすくなる薬については、注意点や服用のコツを伝えましょう。
▶苦味のあるお薬のため、バニラアイスやチョコレート味のゼリーに混ぜると服用しやすくなります。
▶服用後に苦味を感じることがあるので、すぐにお水を飲ませましょう。
▶スポーツドリンクやオレンジジュースなどの酸味のあるものと一緒に飲むと苦くなります。なるべく水で飲ませましょう。
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4-4.服用拒否が強い乳幼児への対応
薬の服用や使用を強く拒否する乳幼児の場合、服用のコツや注意事項を伝え、無理なく安全に使用できるようサポートすることが大切です。
▶激しく泣く乳幼児に無理やり服用させると、気管に入ることがあります。様子を見ながら落ち着いたタイミングで服用させましょう。
▶おなかが満たされていると、薬を嫌がることがあります。今回の薬は食事に関係なく服用できるため、ミルクや授乳の前に服用させてみましょう。
▶点眼剤は、目を閉じた状態で使用しても問題ありません。目頭付近に点眼すると全体に広がります。
▶塗り薬を嫌がるときは、テレビに集中しているときや、寝ているときに塗りましょう。
4-5.誤飲防止の注意喚起
子どもの手が届く場所に薬を保管すると、誤飲するリスクがあります。しっかりと注意喚起をしましょう。
▶お菓子と勘違いして食べないように、お子さんの手の届かないところに保管しましょう。
▶子どもの薬は甘く味付けされているため、用法用量以上に飲みたがるお子さんがいます。お子さんの手の届かないところに保管してください。
5.乳幼児服薬指導加算を算定しよう
乳幼児服薬指導加算は、指導内容の濃淡や処方された剤形にかかわらず、要件を満たすことで算定できます。また、算定要件に関わる情報は、調剤や服薬指導を行う上で欠かせないものです。
乳幼児服薬指導加算を算定するためにも、お薬手帳を活用していない患者さんに対しては、丁寧に説明を行いお薬手帳の活用を促しましょう。薬歴やお薬手帳への記載に漏れのないようにすることも大切です。
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薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。
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